横歩取りとは、将棋における相居飛車戦で出現する戦法の一つで、序盤から飛車が横に動いて相手の歩を取ることからこの名前がついています。
この戦法の特徴は、序盤の早い段階で歩を交換し、飛車を活用して主導権を握りにいくスピード感あふれる展開にあることです。攻防が激しく交錯するため、読みの力や正確な形の理解、そして終盤での寄せの力が試されます。
横歩取りの基本構造と出現までの流れ
横歩取りが出現する典型的な流れは以下の通りです。
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △8四歩 ▲7六歩 △8五歩 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △3三角 ▲2八飛
ここで飛車を引き、2筋の歩を取り合う構造が完成します。
その後、角を引いたり飛車先を交わしたりしながら、どちらが先に主導権を取るかの攻防が展開されていきます。
横歩取りのメリットと魅力
- 主導権を握りやすい
- 変化が多く、相手の研究を外しやすい
- 終盤力で勝負しやすい
代表的な横歩取りの型と攻め筋
横歩取りは型によって展開が大きく変わります。たとえば将棋上達.comでは、青野流や中住まいなどの構えが丁寧に解説されており、基本形から応用パターンまで理解を深めるのに役立ちます。
さらに、Kotaro‑noteでも横歩取りの狙いや対策について、後手の飛車回り戦法(△8四飛)などの実例を交えてわかりやすく紹介されています。
横歩取りの主な弱点と注意点
- 玉が薄くなりやすい
- 一手のミスが命取りに
- 終盤に自信がないと苦しくなる
横歩取りに対する受け方・対策法
- 飛車を簡単に渡さない
- 相横歩取りを避ける選択もアリ
- 穴熊などの堅陣に組む
横歩取りはこんな人におすすめ
- スピーディーな攻めが好きな人
- 相手の準備を崩したい人
- 終盤力に自信がある人
- 短時間の対局で主導権を握りたい人
プロ棋士の実戦でも多く使われる戦法
横歩取りは、藤井聡太竜王・羽生善治九段・渡辺明名人など、トップ棋士の実戦でもたびたび採用されています。AI研究によって形が洗練されており、プロでも一手間違えば即負けという緊張感が魅力の戦法でもあります。
まとめ、横歩取りは速さと正確さが勝負を分ける戦法
横歩取りは、序盤から飛車を活用し、早い段階で形勢を動かす攻撃的な戦法です。その一方で、読みの力や形の正確さが問われる高度な技術戦でもあります。
成功すれば一気に主導権を握れる反面、失敗すれば立て直しが難しい。だからこそ、戦略的な選択と冷静な判断力が求められる、奥深く魅力的な戦型なのです。
筆者のひとこと、一手に賭ける、その潔さに将棋の本質がある
横歩取りという戦法には、いま動くという意志があります。囲いも整わぬうちに、自ら仕掛けていく姿勢には、どこか美しさすら感じられます。
安全を捨ててでも、局面を動かす。守るのではなく、信じて攻める。その姿勢は、勝負に限らず、私たちの日常にも通じるものがあるのかもしれません。