トーチカ囲いとは?〜守備に特化した特殊な囲い〜

トーチカ囲い 2025

トーチカ囲いとは、将棋において金と銀を縦に重ねて配置し、高い守備力を発揮する特殊な囲いです。名称の由来は、戦時中に使われたコンクリート製の防御拠点であるトーチカに形が似ていることにあります。

この囲いは、振り飛車戦型で玉を自陣の左側、つまり右側に置いたまま、金と銀を縦に並べて守る構造が特徴です。角や飛車の筋からの攻撃に対して非常に高い耐久力を発揮します。

特に中盤戦以降、相手の鋭い攻めを受けきる力を重視する場面で有効であり、プロ・アマ問わず一定の評価を得ている囲いです。

トーチカ囲いの組み方、基本構造と配置例

トーチカ囲いは、以下のような形が基本になります。

  • 玉将を6九に配置
  • その上に6八金
  • さらに7八銀を右上に添える形
  • 必要に応じて7九に金を足し、強化

このように、玉の上に金、その隣に銀を置くことで縦の壁を形成します。まさに名前の通り、強固な防御壁を築くような囲い方です。

特に、相手の角や飛車による横・斜めの攻撃を受け止めやすく、守りに厚いのが魅力です。

より詳しい構えと配置手順については、以下の解説も参考になります。
ミレニアム囲い(トーチカ囲い)の形と長所|将棋研究

トーチカ囲いのメリット

  1. 角・飛車に強い防御力
    金と銀を縦に重ねることで、斜めからの攻撃である角の利きや、横からの飛車による攻めにも高い耐久性を発揮します。
  2. コンパクトに組める
    玉をそれほど遠くまで移動させなくても囲えるため、少ない手数で実用的な囲いが完成します。
  3. 守りに徹した構造
    攻めを受け止める目的に特化しているため、防御重視の構想と非常に相性がよいです。受け将棋との組み合わせで真価を発揮します。

トーチカ囲いのデメリット

  1. 攻撃力が落ちやすい
    守備に駒を多く使うため、攻めの駒が不足しやすく、カウンターに移行しにくい傾向があります。
  2. 機動力に欠ける
    金銀が玉の上下に固まっているため、いったん崩されると修復が難しく、柔軟性に乏しいのが難点です。
  3. 玉の位置が危険になりやすい
    玉が自陣中央に近いため、相手の攻撃が届きやすくなる局面もあり、バランスに注意が必要です。

トーチカ囲いが活躍する局面と相性の良い戦法

  • 受け重視の中・持久戦型
    相手の攻めを誘い、それを受け止めてから反撃するスタイルと好相性です。特にアマチュアの実戦では、相手の急戦をかわす戦略として有効。
  • 振り飛車全般、特に四間飛車
    四間飛車や三間飛車など、玉が右側に寄る形で採用されやすい囲いです。美濃囲いと比較して、より中央からの攻めに強くなるのが特徴。
  • 対急戦策として
    相手が早めに仕掛けてくる急戦型の場合に、短手数で守りを整える囲いとして活躍します。

囲いの起源や思想的背景についても知りたい方は、ミレニアム囲い(トーチカ囲い)の由来と組み方|日本将棋連盟コラムも参考になります。

トーチカ囲いの対策法、どう崩す?

トーチカ囲いは堅いものの、一度形を崩すと立て直しが難しい囲いでもあります。以下のような戦術が有効です。

  • 斜めからの攻めを集中させる
  • 駒交換を積極的に狙う
  • 玉頭を攻める

一点集中で崩しにかかるのが、トーチカ囲い攻略のコツです。

他の囲いとの比較:美濃囲いや矢倉との違い

囲い名 特徴 強い場面 弱点
トーチカ囲い 金銀を縦に重ねた高耐久の守り 受け将棋、中終盤の耐久戦 崩れると再構築が難しい
美濃囲い 横からの攻めに強くバランスが良い 振り飛車、初心者の基本形 端攻めに弱い
矢倉囲い 居飛車向けで正面からの攻めに強い 居飛車の持久戦 角の打ち込みに注意が必要

まとめ、トーチカ囲いは堅さで主導権を奪う構え

トーチカ囲いは、守備に特化した構造で相手の攻めを受けきり、反撃のチャンスをうかがう囲いです。組むのが比較的簡単で、短い手数で形が整うため、急戦対策や振り飛車党には特におすすめの囲いです。

ただし、受けきれなかったときのリスクも高いため、相手の攻め筋をよく読んでバランスを取ることが重要です。

筆者のひとこと、守りとは備えることではなく信じること

トーチカ囲いを見ていると、ただの守備ではない何かを感じます。
それは、未来の攻めに希望を託し、今はただ耐える、という意志の強さなのかもしれません。

人もまた、何かを成し遂げるとき、まずは守りを固め、心を整える必要があります。
備えるだけでなく、自分の構えを信じること――トーチカ囲いは、そんな覚悟の象徴のようも見えるのです。

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