ゴキゲン中飛車とは?──現代将棋を支える攻撃型振り飛車

ゴキゲン中飛車 2025

ゴキゲン中飛車(ごきげんちゅうびしゃ)は、将棋の振り飛車戦法のひとつで、飛車を中央5筋に構えて戦う現代的な攻撃型戦法です。

2000年代初頭にプロ棋士・近藤正和七段によって体系化され、ゴキゲン流と呼ばれる独自のスタイルで話題を呼びました。名前のゴキゲンは、開発者が気分よく指せる戦法として名付けたことに由来します。

ゴキゲン中飛車の基本構造

ゴキゲン中飛車の特徴は、序盤で早々に飛車を5筋に振り、中央から主導権を握ろうとする構えです。

基本的な駒組み(先手の場合):

  • ▲7六歩 → ▲5六歩(中飛車)
  • ▲5八飛 → ▲5七銀 → ▲6六銀
  • ▲6八玉 → ▲7八金 → 美濃囲いへ
  • ▲3八金 または ▲4八玉(バランス調整)

この流れで、飛車と銀を連携させて中央から攻めを構築し、玉を美濃囲いで守ります。とくに6六に銀を早く繰り出す早仕掛け型が特徴的で、テンポよく攻めが展開できるのが魅力です。

ゴキゲン中飛車の主な狙い

  1. 中央からの制圧と牽制 — 中飛車の最大の特徴は、盤の中心=戦場の中心を押さえる力です。中央を制することで、相手の戦法を封じ、展開をコントロールできます。
  2. 美濃囲いとの組み合わせによる堅守 — ゴキゲン中飛車も美濃囲いや高美濃と非常に相性が良く、バランス型の戦法として守りも万全です。
  3. 柔軟性と発展性 — 序盤から攻めを意識しつつ、中盤以降の展開に応じて攻守のバランスを変化させやすいのが特徴です。

メリットとデメリット

  • 中央を制して主導権を握りやすい
  • 構えがシンプルで習得しやすい
  • プロでも愛用者が多く研究が進んでいる
  • 対急戦にも持久戦にも柔軟に対応可能
  • 序盤の仕掛けを誤ると形が崩れやすい
  • 飛車が中央に位置するため、囲いがやや偏る
  • 相手の居飛車穴熊に対してやや分が悪い場面も

ゴキゲン中飛車に対する主な対策

  • 超速▲3七銀戦法 — 銀を素早く繰り出し、中央での衝突を早めに仕掛ける方法。
  • 居飛車穴熊 — 右辺に玉を避難させ、厚い守りから反撃する戦法。
  • 急戦棒銀型 — 棒銀で中央から横方向に圧力をかける方法。

バリエーション戦法

  • 超速ゴキゲン中飛車 — 急戦志向の形
  • 持久戦型ゴキゲン中飛車 — 厚い囲いを築く形
  • 角交換型ゴキゲン — 角交換から主導権を握る形
  • 地下鉄飛車型 — 飛車を端に回す奇襲形

より詳しい駒組みや攻め筋は、ゴキゲン中飛車の定跡解説記事でも丁寧に紹介されています。

練習方法と習得のコツ

初心者向け — 5筋への飛車振りと美濃囲いを反復練習し、序盤10手以内の形を覚える。

中級者以上向け — 相手の急戦策への対応を研究し、プロ棋士の棋譜やAI解析を活用する。

まとめ:ゴキゲン中飛車は攻めの美学

ゴキゲン中飛車は、中央を制し、自分から仕掛ける積極的な将棋を体現する戦法です。初心者にも始めやすく、上達するほど奥深さに気づけます。

筆者の洞察

中央に立つ飛車は、将棋盤の中心で己を主張する旗印のよう。ゴキゲンでありながら芯のある姿勢は、現代社会にも通じる普遍的な価値観を示しています。

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