将棋の上達の肝は何といっても詰将棋。詰将棋は繰り返し解いていくことにより、次の手を読む力と相手玉を実際に詰ます力の両方を手にすることができます。ただし、詰将棋関連本の数は現在非常に多く、どれを選べばよいのか、と悩んでしまうことも。簡単すぎる詰将棋を解くのもつまらないでしょうし、難しすぎるのを選んでしまうと長くは続きません。今回は、棋力別(初心者・級位者・有段者向け)に、おすすめの詰将棋本を紹介していきます。
自分のレベルにあった手数とは?
詰将棋の難易度は、おおよそ手数によって決まります。詰将棋は必ず解き手側からスタートして、解き手側の一手で終わるので、1手、3手、5手、のように、奇数の手数となっています。手数の短い方が当然簡単で、手数が長くなると、その分難易度も高くなります。おおよその難易度の目安を表にしてみると、このようになります。
初心者(将棋ウォーズ4級以下) | 1手詰・3手詰 |
級位者(将棋ウォーズ3級~1級) | 3手詰・5手詰 |
有段者(将棋ウォーズ初段以上) | 7手詰以上 |
ただし注意してほしいのが、長い手数のものを少なくこなすよりも、短めの手数のものをたくさんこなす方が効果的である、と言われています。つまり、将棋ウォーズで初段以上あったとしても、7手詰に手を出すよりも、5手詰をたくさん解いていく方が良いでしょう。
とは言ったものの、極端に手数の少ないものを繰り返しやるのが良いというわけでもありません。ある程度の棋力がついてきたら、1手詰は卒業して、3手詰・5手詰に進むのがよいでしょう。基本的には5手詰が易しすぎず、難しすぎず、どの棋力帯にもあった手数です。
初心者におすすめの詰将棋本
1手詰ハンドブック(著:浦野真彦八段)
今からまさに将棋を始めるという初心者の方は、1手詰から始めましょう。1手詰めだからといって舐めてはいけません。手数関係なく、たくさん局面図に接することで頭が将棋に慣れてくると思います。実戦のみでなく詰将棋も大きな役目を果たします。一手詰に限らず、浦野先生によるハンドブックシリーズは詰将棋の定番です。
1手詰将棋(著:高橋道雄九段)
詰将棋ハンドブックよりも実戦形式で、少し解きやすいのが、高橋先生の一手詰将棋です。実戦形式の問題が多く初心者にも解きやすいうえ、実際の戦いで応用が利きます。
3手詰将棋(著:高橋道雄九段)
1手詰めがすらすらと解けてきたら、次は3手詰めにチャレンジしましょう。最初に取り組む3手詰めは、先ほど直前に紹介した、高橋先生による詰将棋シリーズがおすすめ。
3手詰では、自分の指す1手だけではなく、相手の応手を考える必要があります。将棋の基本は「3手の読み」。1手詰めの段階ではいかに相手玉を詰ますか、自分の手を探るだけでしたが3手詰めでは相手の対応を考えなければいけません。3手詰めがスラスラ解けるようになってくれば、もう初心者は卒業したといってもよいでしょう。
3手詰めハンドブック(著:浦野真彦八段)
こちらも3手詰ですが、高橋九段のものに比べて若干難易度は上がります。高橋九段の3手詰めが解けるようになってきたら、ハンドブックに手を出してみましょう。必ずしも2シリーズ買う必要はありませんが、詰将棋が好きになっていった、という人はぜひこちらのシリーズも解いてみると良いと思います。
級位者におすすめの詰将棋本
3手・5手の詰将棋(著:本間博)
3手詰の問題と5手詰の問題を両方収録しているのが、こちらの3手・5手の詰将棋です。いきなり5手詰にチャレンジするのが怖い、という方はまずはこちらから。
将棋が強くなる!明解5手詰(著:日本将棋連盟 推薦:藤井聡太)
標準的な5手詰の詰将棋集です。問題は比較的易しめ。5手詰に初めて取り組むという方におすすめです。
5手詰将棋(著:高橋道雄)
5手詰でも相変わらず高橋先生のこちらのシリーズはおすすめです。内容が決して簡単というわけではないのですが、実戦で出てくる形が多いので、うまく盤面をイメージしやすいはず。手を付けやすい本です。
5手詰ハンドブック(著:浦野真彦)
5手詰ハンドブックも、こちらももちろんおすすめの一冊。浦野先生の詰将棋はどれもおしゃれで、詰めあがりやその手順がきれいなのが特徴です。5手詰めくらいになってくると、著者の味が出てくるのが分かります。詰将棋らしい手順もどんどん増えてくるので、高橋先生のものとはまた違うよさがあります。
有段者におすすめの詰将棋本
7手詰将棋(著:高橋道雄)
5手詰めに飽きてきた、もう少し難しいものを解きたいとなったら次は7手詰めです。やはり高橋先生のシリーズは実戦的で解きやすい。新しいレベルの詰将棋を始めるときはこのシリーズを最初に選ぶのが良いでしょう。
7手詰ハンドブック(著:浦野真彦)
最後の関門。やや複雑な問題やかなり見えにくい問題も増えてきます。これがスラスラ解けるようになることを目標に頑張っていきましょう。
全問実戦型!脳トレ7手9手詰(著:北浜健介)
まとめ
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書名 | 1手詰ハンドブック | 1手詰将棋 | 3手詰将棋 | 3手詰ハンドブック | 3手5手の詰将棋 | 明解5手詰 | 5手詰将棋 | 5手ハンドブック | 7手詰将棋 | 7手詰ハンドブック | 脳トレ7手9手詰 |
リンク | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る | Amazonで見る |
手数 | 1手詰 | 1手詰 | 3手詰 | 3手詰 | 3・5手詰 | 5手詰 | 5手詰 | 5手詰 | 7手詰 | 7手詰 | 7・9手詰 |
対象 | 初心者 | 初心者 | 初心者 | 初心者 | 級位者 | 級位者 | 級位者 | 級位者 | 有段者 | 有段者 | 有段者 |
今回は様々な詰将棋本を紹介していきましたが、どれにしようか迷ってしまったという方は、とりあえず浦野先生のハンドブックシリーズまたは高橋先生の詰将棋シリーズにトライしてみるのがおすすめです。私がメインで解き進めていったのはこの2つのシリーズですし、この2シリーズのおかげで棋力が向上していったと思っています。7手詰がスラスラ解けるようになるまでは、本当にこの2シリーズでOKです。
この2シリーズの特徴として
・約200問収録と問題数も丁度良い
という点が挙げられます。無駄に大きい詰将棋本を見かけますが、紙媒体で持つのであればこういった簡単に持ち運べるサイズのものが良いですし、仮に電子書籍だとしても問題数が多すぎると長続きしません。
両シリーズの特徴を比較するならば、少し先ほども触れたように、高橋先生の詰将棋シリーズの場合は実戦的なものが多く、玉の位置も実戦にそのまま出てきそうなものばかりです。ですので問題としてはかなり「解きやすい」部類に入ります。
それに対して、浦野先生のハンドブックの場合はもちろん実戦的な要素も多いのですが、それ以上に「詰将棋らしさ」が出ています。きれいな詰まし手順やハッとするような詰み上がりなど。高橋先生のシリーズと比べると難易度が上がります。どちらも素晴らしい詰将棋シリーズなので、自分の好みに合わせて選ぶのがおすすめです。
その他、おすすめの詰将棋の勉強法については『詰将棋で初段を目指すための正しい解き方と勉強法』で、詰将棋の効果については『詰将棋の効果とは?なぜ詰将棋で上達できるのかを初心者向けに解説』で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。