この詰将棋を使った勉強法は、筆者が1級になってから連敗が続き伸び悩んだ時に実行したものです。約1ヶ月間この勉強法を継続し、見事初段に昇段することができました。
想像するに、将棋ウォーズでいうところの1級前後は、一番棋力の伸びやすい時期です。この段階でいかに集中して将棋の勉強ができるかに、多くのことがかかっています。これ以上の棋力になると、1か月でスピード昇段、といったことは難しくなってくるかもしれませんが、勉強法そのものはどんな棋力帯でも応用できるものだと確信しています。
詰将棋で確実に上達するための勉強法
詰将棋を一日に高速で解きまくる
詰将棋を用いた勉強法のポイントはただ一つだけ、比較的短い詰将棋を大量に解きまくるのです。これは実体験ですが、一日に200問~600問程度、高速で(1問にかける時間は5秒以下を目指す)詰将棋を解きまくり、最終的には1か月で1万問以上解くことを目指しました。
・一手一手になるべく時間を掛けないようにする(最終的には一瞬で答えが分かる状態を目指す)
・これをひたすら繰り返す
具体的な勉強法3ステップ
1 詰将棋の本を1冊用意する
まずは、詰将棋の本を用意しましょう(詰将棋アプリでももちろん構いません)。詰将棋の手数は自分に合ったものを選びます。初段を目指す!という方は5手詰のものがおすすめです。まだ将棋を始めたばかりの方は、1手詰や3手詰などのさらに短い手数から始めても構いません。
個人的な詰将棋本のおすすめは、こちらの浦野先生による「詰将棋ハンドブック」シリーズです。
浦野先生のシリーズは、比較的短手数な割には詰めあがりが綺麗で、実践で出てきそうな形も多いです。その他のおすすめの詰将棋本については『将棋上達の近道!おすすめな詰将棋本を棋力別(初心者・級位者・有段者)にまとめてみました』で紹介していますが、迷ったらとりあえずこちらの「詰将棋ハンドブック」シリーズを選んでおけば間違いありません。
初心者向けの3手詰も、ハンドブックシリーズから出ています。こちらもおすすめ。
2 空いた時間に超高速で解きまくる
早速詰将棋の問題を解きまくっていくわけですが、何よりも速さを意識します。先程の詰将棋ハンドブックの場合ですが、全部で問題が約200問あります。これを200問一気に解いていくわけです。とはいえ、集中力にも限界があるので無理は禁物です。1日に600問くらいくらいできれば理想です。これを目標にどんどん解いていきました。
かかった時間をメモする
モチベーション維持のために、かかった時間をメモしておくのがおすすめです。時間をメモ、といっても、わざわざストップウォッチでは図る必要はありません。大体の時間をチェックして、記録しておきます。最初のうちは一問一問に時間をかけてしまいがちですが、それは当たり前。何回も繰り返していくうちに、かかる時間も短くなっていくはずです。100問を20分かけて解く、というのは解き始めたばかりであればいたって普通です。最終的に5分くらいで解けるくらいまでには速くなるはずです(100問を5分→1問3秒)。
3 繰り返す
この超高速で解きまくるのを、何回も繰り返していきます。最初のうちは時間がかかるので繰り返すのが大変かもしれませんが、徐々に時間も短くなり、繰り返すのも苦でなくなるはず。
ー200問を3周で600問解く
ーこれを20日続ければ約1万問解ける
この勉強法の効果とは
詰みの形が体に染みつく
解いた問題に出てきた詰みの形は完全に体に染みつきます。プロ棋士の方々が「大体詰み」「さすがに詰む」などと言っているのを聞いたことのある方も多いでしょう。プロの人たちは膨大な数の詰みの形が体に染みついているのだと思います。
一瞬で手が読める=脳内将棋盤を高速で動かせる
何回も繰り返していくことで、局面を見たら一瞬で手が読めるようなことが何度もあると思います。これはもちろん詰みの形が染みついたということもありますが、自分の読みの力が鍛えられた=脳内将棋盤を高速で動かせるようになった、ということでもあります。
脳内将棋盤をさらに活性化させたいのであれば、詰将棋を解く際もただ早く解こうとするのではなく、盤面をじーっと見ているのではなく、盤面を一瞬だけ見て、暗記して、目をつぶって、頭の中で解く、こういった練習をするのが効果的です。
そもそも詰将棋で将棋が上達する理由とは
詰将棋で将棋が上達する理由は主に2点あります。1点目は、やはり詰みの形をたくさん覚えることによって、終盤力が強化されるという点。2点目は、読みの練習、特に頭の中で将棋の駒を動かす練習が効果的にできるという点です。詰将棋の効果について、詳しくは『詰将棋の効果とは?なぜ詰将棋で上達できるのかを初心者向けに解説』で解説しています。
上達するための正しい詰将棋の「解き方」とは?
同じ詰将棋ばかり解く、ということ
同じ詰将棋ばかり解くことに疑問を抱く方もいるかもしれませんが、ある段階まではこのやり方で問題ないと考えています。やはり、ある程度数をこなさないと頭の中で駒を動かすことにはなれませんし、詰みの形もなかなか定着しません。
ただし、1万問を超えてくると、もう完全に問題を暗記してしまうということもあるでしょう。そのこと自体には何の問題もない(詰みの形が自分の頭に完全に染みついたということ)のですが、解いていてあまり面白くなくなってくるかもしれません。もう同じ問題ばかりで飽きた!と思ったら、別の詰将棋の本を買ってもよいと思います。
答えは見てもよい
詰将棋には様々な解き方の流儀があり、人それぞれ。特に答えを見るべきか、見ないべきかは意見の分かれるポイントです。ただし、詰将棋を解くに当たって、少し考えてみても分からない場合は、答えを見るのも一つの手だと個人的には考えていまs。詰将棋を解く目的は必ずしも答えを導き出すということではなく、詰将棋の答えにたどり着くまでに駒を頭の中で動かしたり、詰みの形を覚えたりする、ということにあります。ただし、そもそも答えを見なければわからない問題ばかりなのであれば、詰将棋のレベルが自分には合っていない可能性が高いです。あまりに難しい詰将棋の本を買ってしまっては長く続かないので、自分にあったレベルの詰将棋を選ぶことが大切です。棋力別のおすすめ詰将棋本については『将棋上達の近道!おすすめな詰将棋本を棋力別(初心者・級位者・有段者)にまとめてみました』で詳しく解説しています。