【初心者向け】詰将棋の解き方のコツと解くときの考え方

詰将棋は、将棋の上達に欠かせない要素。初心者でも、プロ棋士でも、詰将棋をたくさん解いて上達しています。そうはいったものの、詰将棋を解いていくのはそこまで簡単な話ではありません。詰将棋を解いていて、なかなか解けずにやる気がなくなってしまった、そんな経験をしている人も多いと思います。

今回は、そんな将棋初心者の方向けに、詰将棋の解き方のコツを解説していきます。

詰将棋の解き方のコツ

王手を探す

詰将棋は、王手の連続で相手玉を詰まさなければいけないルールです。別の言葉で言い換えると、詰将棋の手の候補になるのは王手となる手のみ。詰将棋の最初のステップは、相手玉に王手を掛ける方法を考えることです。

下図は非常に簡単な詰将棋の例です(3手詰)。この詰将棋を例に考えてみましょう。

相手玉に王手を掛ける方法を考えると、▲2二角成、▲2一金、▲2三桂の3通りが考えられます。ただし、この中で▲2二角成は同玉とされた後にそれ以上何もなく、▲2一金も同様です。詰将棋では王手が一回できればいいのではなく、手順中の最後までずっと王手が続いていなければなりません。つまり、王手がその後もずっと続けられるような王手の一手を選ばなければいけないわけです。

正解はもちろん▲2三桂。▲2三桂に△同歩はできないので、△2一玉と逃げますが、そこで▲3一金と打って詰みとなります。▲2三桂の王手の後に、もう一度▲3一金と打って王手が続き、かつその最後の王手で相手玉を詰ませられることができるので、▲2三桂からの一連の手順が正しいとわかります。

詰みの局面を想像する

詰将棋でもう一つ大切なポイントは、詰みの局面を想像することです。例えば下図。こちらも3手詰の簡単な問題です。

ここでは1一の玉と1三の銀が特徴的。もし1二に金が打てたら詰むのにな…ということを考えます。そこで、1三の金を王手を掛けながらうまく移動させてやればよい、ということに気づき、▲2三桂と打ちます。▲2三桂△同金▲1二金で詰みとなります。この場合、1二に金を打ちたい、というところからスタートして、その目的のために邪魔な金を動かす、こういった発想になります。

どこに逃がしてはいけないかを考える

最後に、こちらの3手詰の問題を考えてみましょう。

ここでは▲2二金と打つ手が最初に思い浮かぶかもしれませんが、△1三玉と逃げられるとどうでしょう。玉をどんどん上に逃がしていっているような気がして、玉が全くつかまりません。ここでは、まず「1三に玉を逃がしてしまってはいけない」と考え、王手を掛けつつその逃げ道を封鎖できる、そんな一手を探します。正解は▲1三歩と打つ一手。△同桂と取らせることで1三への逃げ道を封鎖した後で、▲2二金と打ち、詰ませます。

詰将棋のテクニック

逃げ道封鎖をする

先ほども触れたこちらの3手詰の問題のような逃げ道封鎖は詰将棋で頻出のテクニックです。「ここに逃げられちゃまずい」ような場所がある場合は、その場所を封鎖するのが大抵正解です。

捨て駒をする

捨て駒も、詰将棋では必須のテクニックです。捨て駒は先ほどのように相手のあえて取らせることによって逃げ道を封鎖することにも使われる他、邪魔な駒をそっぽに動かすのにも使われます。下図では、桂馬をおとりに金を動かしています。

玉を下に落とす

「玉は下段に落とせ」との格言があるように、詰将棋でも玉を下段に落とすような展開は非常に多いです。その場合も捨て駒をすることで、駒一枚をおとりに玉を下段に降ろすのが普通です。例えば下図では▲3二金と打ってしまいたいところですが、ぐっと我慢して▲3一角と打ちます。△同玉しかありませんが、そこでやっと▲3二金と打つのです。

テクニックの組み合わせ

少し長い詰将棋になってくると、複数のテクニックを組み合わせていくのが普通です。

例えば上の詰将棋では、まず▲3一角と打ち、玉を下に引き下ろそうとします。△3一同玉には▲3二金ですぐに詰んでしまうので、△1二玉と逃げられますが、そこでまた▲1三歩(下図)と逃げ道封鎖の一手を放ちます。

そこで△同桂と最終的にさせてから、▲2二金と打って詰ますことになります。「逃げ道封鎖」「捨て駒」「玉を下段に降ろす」など、たくさんのテクニックが使われています。

詰将棋の考え方

詰みの形を知ってその形に誘導

詰将棋をスムーズに解いていくにあたって必須なのが、まずは基本的な詰みの形を覚えることです。例えば先ほどのような詰将棋でも、頭金の詰みの形や腹金の詰みの形をしっておかないと、正解手順は思い浮かばないでしょう。

まずは頭金(下図)などの基本的な詰みの形から覚えていき、徐々にバリエーションを増やすなり手数を増やすなりしていくのがおすすめです。

なお、詰みの形を覚えるのには、結局のところ詰将棋を解いていくのが一番効率が良いと思います。「詰将棋を解く」→「詰みの形を覚える」→「詰将棋をもっと解けるようになる」の好循環が生まれるはず。

考えてみて分からなかったら答えを見てもOK

長い時間考えても分からないのであれば、答えを見ても構いません。超手数のものを時間をかけてやるよりも、短手数のものを量重視で解いていく方が将棋の上達が早いでしょう。これにはいくつか理由があるのですが、そのうちの一つは、詰将棋の重要な目的は(繰り返しになりますが)「詰みの形を覚えることにあるから」です。

詰将棋の効果や、詰将棋で上達する理由については『詰将棋の効果とは?なぜ詰将棋で上達できるのかを初心者向けに解説』で解説しています。

【詰将棋で上達】詰将棋の効果とは?なぜ詰将棋で上達できるのかを初心者向けに解説
詰将棋を解け!これは昔々から言われてきたセリフでしょう。将棋上達に詰将棋は欠かせない、これは定説です。結論から言ってしま...

詰将棋が解けない理由とは

インプットがまだ足りない

詰将棋が解けない、と悩んでいる方の原因の多くは、インプット不足に起因します。インプット不足とは、すなわち単純に詰将棋の解いた量が少ないということ。詰将棋の量が少なければ、詰みの形のリソースも少ないですし、駒を頭の中で動かすのにも慣れていないはず。

詰将棋のレベルが高すぎる

自分の棋力に合った詰将棋を解いていくのも重要です。あまりに難しいものをやっても、時間がかかるだけでモチベーションを削いでしまいます。初心者の方はまずは1手詰・3手詰から、慣れてきたという方は5手詰にチャレンジするのがおすすめ。

1手詰・3手詰・5手詰共に、こちらの高橋先生の○手詰将棋シリーズがおすすめです。実戦形式で解きやすく、とっつきやすい問題が多いです


なお、紙の本で読んでいた時には浦野先生の詰将棋ハンドブックシリーズがおすすめだった(下記参照)のですが、Kinde版がないのが大きな弱点。紙の本でも問題ないという方はハンドブックシリーズもおすすめですが、かさばるのが嫌で、電子書籍がいいという方には、高橋先生のシリーズがおすすめです。


もちろんこの2シリーズ以外にも詰将棋の本は多く出版されています。自分に合った詰将棋本の選び方や棋力別の詰将棋本のおすすめについては『おすすめの詰将棋本11選(初心者・級位者・有段者向け)のまとめ』で紹介しています。

【棋力別】おすすめの詰将棋本11選(初心者・級位者・有段者向け)のまとめ
将棋の上達の肝は何といっても詰将棋。詰将棋は繰り返し解いていくことにより、次の手を読む力と相手玉を実際に詰ます力の両方を...

詰将棋で上達するための勉強法

詰将棋で将棋を上達するためには、その解き方に少しコツがあります。ポイントは、大まかに以下の2点。

・大量に解く(1か月に1万問は解く)
・高速で解く(1問5秒を目指す)

この詰将棋の勉強法について、詳しくは『詰将棋で初段を目指すための正しい解き方と勉強法』で解説しています(単純に見えますが、効果は絶大です)。

【効率的勉強法】詰将棋で初段を目指すための正しい解き方と勉強法
この詰将棋を使った勉強法は、筆者が1級になってから連敗が続き伸び悩んだ時に実行したものです。約1ヶ月間この勉強法を継続し...
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日々頓死
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公開日:2022年7月5日