近年、将棋がかなり生活に身近な存在になってきました。その影響で将棋を最近始めた、という方も多いと思います。
そんな初心者の方々の悩みとして多くありそうなのが、「将棋ソフトは必要なのか」「初心者はどんなソフトを使えばよいか」「そもそも将棋ソフトとは何なのか」といった疑問でしょうか。
将棋ソフトの棋力というのはプロ棋士以上のものもあります。そういったものが簡単に手に入るだけに、気になる部分も多いと思います。この記事では主に将棋をはじめたばかりの初心者の方のために、将棋ソフトとはどのようなものなのか、どのようなソフトを選ぶべきなのかについて紹介していきます。
将棋ソフトとは?
将棋ソフトは、「コンピュータ将棋」や「将棋AI」などと呼ばれることも多いですが、意外と定義が曖昧です。私たちの良く言う将棋ソフトといえば、こんなものをイメージすると思います。
将棋ソフトは、頭脳部分(エンジン)と、操作部分(GUI)で出来上がっています。上画像であれば、将棋盤や駒など、人間が操作できるような状態になっているのがGUIです。その一方で、頭脳部分はエンジンと呼ばれ、GUIに組み込まれています。人間は頭脳だけの将棋ソフトを使うことはできませんが、GUIという操作部分、すなわち手足を用いることによって、将棋ソフトの思考を目で見て理解することができます。
つまるところ、本来の将棋ソフトとは人間でいう「脳」。脳を動かす手足の役割を負っているのは「GUI」の部分です。なので、基本的に将棋ソフトはGUIがあってこそ動きます。なので、インターネット上で将棋ソフトをダウンロードする場合は手足のGUI部分と脳のプログラム部分を分けてインストールし、GUIに脳を組み込む形になります。
将棋ソフトの機能とは
機能はもちろんそれぞれ違うのですが、大抵のものにはあるような最低限の機能はこの3つです(市販ソフトなどはもう少し多くの機能があります)。
・棋譜解析機能・局面検討機能
対局機能というのは簡単で、ソフトと対局できる機能。わざわざ道場に行かずとも、将棋ウォーズに潜らずとも、プロ棋士と同等以上の棋力を持った相手と対局することができます。
棋譜解析機能は、自分の棋譜(将棋ウォーズの棋譜や将棋倶楽部24の棋譜)やプロの棋譜などをコピペなり入力なりして解析にかけることができるというものです。解析にかけることで、悪手のポイントなどを示してくれます。要するに、一人感想戦ができるようになるということです。形勢判断がグラフとして現れるので、どこで悪くなったのかなどがひと目で分かるという長所もあります。
局面検討機能は、ソフトがその局面の最善手を示してくれる機能です。自分の棋譜の一局面を検討することもできますし、序盤研究などにも活用できます。いわゆる「ソフト研究」はこれを使っています。
そもそも初心者にソフトは必要なのか?
将棋ソフトで最も広く頻繁に使われている機能は、上に挙げた3つ「検討機能」「棋譜解析機能」「対局機能」です。
これらの機能は果たして初心者が活用できる機能なのでしょうか。例えば「検討機能」。ソフトは人間とは違ってその手になる理由は教えてくれません。最善手は示してくれますが、その理由は教えてくれないのです。ある程度の棋力があればソフトの読み筋を見てなるほど、と理解できますしそれが勉強にもなるのですが初心者や将棋を始めたばかりの人だと理解しづらいことが多い思います。有段者が定跡研究をするための機能としては有効でしょうが、初心者にはまだ早いかな、といった印象です。
その一方で「対局機能」と「棋譜解析機能」などについてはかなり初心者の上達の助けになります。「対局機能」ではソフトが良質な練習対局相手になります。レベルを簡単に調節できるものもあるので、自分の棋力に合わせて使うことができます。
対局後は「棋譜解析機能」を使ってしっかり対局を振り返ることができます。評価値(この局面ではどちらが有利なのか)をグラフにしたものが現れるので、一気に逆転している局面があれば戻って確認するとができますね。この手がいけなかったんだな、などといった感じに、セルフ感想戦に使えます。
結論として、もちろん「絶対に導入しなければならない」「導入しないと上達しない」とは言えませんが、「確実に棋力上達の助けになる」とは言えそうです。
初心者が将棋ソフトを選ぶポイントとは
ここからは、初心者として将棋ソフトを導入したいという前提で話を進めていきます。初心者が将棋ソフトを選ぶうえでのポイントはいくつかあり、例として3つ下に挙げてみたいと思います。
・ソフトの棋力を自分のレベルに合わせて簡単に調節できるか
・初心者向けの機能が充実しているか(詰将棋・次の一手など)
有段者と異なり、初心者の方が研究目的で将棋ソフトを使うということはないと思います。つまり、エンジンの強さなどはあまり気にしなくてもよい要素です。その一方で、対局機能やその他初心者向け機能の充実度はチェックしておきたいところです。
初心者におすすめの将棋ソフトとは
将棋ソフトには2種類ある
将棋ソフトには大きく分けて、2種類あります。フリーソフトと市販ソフトです。
フリーソフトは、ネット上にフリーで公開されている将棋ソフトで無料でダウンロードすることができます。ただ、GUIのダウンロードやその設定作業などはすべて自分でやる必要があります。機能面での特徴としては、かなり質素なつくりです。基本的には最低限の機能のみといった形です。初心者にはすこしレベルが高いかもしれません(下画像は将棋所の操作画面)。
将棋ソフトを導入する際も、一から自分で用意していく必要があります。将棋ソフトの手足となるGUI・Shogi GUIと、頭脳となるエンジン・水匠4改の導入方法については、こちらの記事で解説しています。
上の記事ではかなり丁寧に解説しているつもりではありますが、やはり手順は煩雑です。
それに対して市販ソフトは、企業が有料で販売している将棋ソフトです。その分ダウンロードに手間はかからず、フリーソフトに比べるとかなり簡単です。機能面では、かなり充実しています。初心者向けの機能も豊富だったりするので、そういった意味では初心者でも近寄りやすいソフトだと思います(下画像は激指14)
初心者はどの将棋ソフトを選ぶべきなのか?
もし将棋初心者が将棋ソフトを選ぶのであれば、基本的には市販の将棋ソフトがおすすめです。フリーの将棋ソフトは有段者やプロ棋士が研究に使っており、エンジンも最新最強のものを使っています。単純なソフトの強さでは市販のソフトは絶対にかないません。その一方で、将棋の定跡を研究するだけでなく、将棋ソフトを使って将棋を上達していきたいのであれば確実に市販のソフトがおすすめ。
例えば、上の記事ではフリーソフトと市販ソフトの違いをこのようにまとめています。
対局など棋力向上メインで使いたい方:市販ソフト
多くの将棋初心者の方は、下の方に当てはまると思います。なので、基本的には市販のものから試していくのが良いでしょう。特に一番おすすめなのは「激指」というマイナビBOOKSが販売している市販の将棋ソフトのシリーズ。
→激指15
何と言っても諸機能が豊富。私も愛用しています。ソフトとの対局の設定も簡単で、戸惑うことなく操作できると思います。機能の詳細はこちらの記事で紹介しています。
ただし、多機能な反面値段も高め。なので、始めのうちか高いものもかうのはちょっと…という方もいるかもしれません。そんな方にはフリーソフトという選択もあります。かなりレベルは高く使いこなしづらいですが、無料ですので導入して損になることはないでしょう。フリーソフトの導入のためには、まずはGUIと呼ばれる操作部分をインストールします。おすすめGUIのShogi GUIのインストール方法については、こちらで解説しています
Shogi GUIの場合はエンジンがあらかじめ搭載されているので余計な手間をわざわざかける必要はありませんが、せっかくなら最新・最強のエンジンを組み込んでみたいところ。「水匠4改」(現時点での最強ソフト)もフリーソフトで、Shogi GUIに登録して使うことができます。操作は最初は難しいですが、徐々に慣れていけば問題ないでしょう。
最後に
初心者向けの将棋ソフトとしては、激指が一番のおすすめ。初心者にとっての必要性については議論のある所だと思いますが、個人的には導入しても決して損はしない、むしろ上達の大きな助けになると考えています。何よりも迷っている暇がもったいない、ということで、自分にぴったりの将棋ソフトを見つけて、ぜひ導入してみてください。