順位戦とは
順位戦は、おそらく将棋で一番有名な棋戦です(タイトル戦除く)。すべての棋士がA級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組に分かれてリーグ戦を行います(フリークラス除く)。A級が最上位、C級2組が最下位のクラスで、毎年成績の応じて昇級者・降級者が決められます。順位戦は実質的に名人戦の予選ですので、A級順位戦での優勝者は、名人への挑戦権、すなわち名人戦七番勝負への出場権を得ます。
名人戦への出場権を得られるのはA級に在籍している棋士のみなので、その他のクラスにいる棋士は直接的に名人への挑戦権を競うことができるわけではありません。しかし、毎年昇級・降級があるので、良い成績を残すことでより上位のクラスに昇級し、最終的にA級にたどり着くことができれば、名人への挑戦権争いにも参加できるようになります。名人への挑戦権を争うことのできるA級棋士への昇級は、トップ棋士のあかしです。
クラスの一覧
順位戦の昇級基準は非常にシビア。毎年2名から3名しか上位クラスに昇級できません。また、成績では上位に入っていても、順位によって昇級ができないケース(頭ハネ)もできます。B級1組を例に出してみると、A級から落ちてきた2名がB級1組1位、B級1組2位、そしてB級2組から昇級してきた3名がB級1組11位、B級1組12位、B級1組13位となり、それ以外の棋士は昨年度の成績順で順位が決められます。仮に同じ成績の棋士が複数いた場合は、順位に基づいて昇級・降級が決まります。例えば12勝2敗の棋士が3名いた場合、順位の高い2人が昇級、順位の低かった一人は来期も残留となります。
クラス | 定員 | 昇級 | 降級 |
名人 | 1名 | 挑戦者に4勝すれば防衛 |
挑戦者に4敗すればA級に
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A級 | 10名 | 上位1名が挑戦権を獲得・名人に4勝すれば名人獲得 | 下位2名 |
B級1組 | 13名 | 上位2名 | 下位3名 |
B級2組 | 不定 | 上位3名 |
降級点が累積2回
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C級1組 | 不定 | 上位3名 |
降級点が累積3回
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C級2組 | 不定 | 上位3名 |
降級点が累積3回
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人数が不定のB級2組以下では、降級点というシステムで降級者が決められます。成績下位の棋士には降級点が振られ、2回または3回貯まってしまうと降級となります。降級点は勝ち越し、または2期連続の5勝5敗で消すことができます。
なお、C級2組の下にはフリークラスが存在し、順位戦に参加することのないクラスです。C級2組からの降級者は原則フリークラス編入となります。
順位戦の仕組み
順位戦はタイトル戦ではありませんが、持ち時間が比較的長いのが特徴です。将棋界の一番のタイトル、名人戦の予選であるだけあります。
持ち時間 | 6時間 |
主催 |
朝日新聞社・毎日新聞社
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A級在籍はトップ棋士の証
将棋の段位(九段・八段・・・四段)はいちど昇段すれば二度と落ちることはありません。その意味で、段位は棋士の「実績」を測るものだといえます。例えばすでに引退した加藤一二三九段。引退直前の順位戦のクラスはC級2組と最下位でしたが、段位の「九段」は加藤九段のこれまでの様々な実績を総合的に表しているものです。その一方で、在籍している順位戦のクラスは棋士の今現在の強さを大まかに表しています。順位戦のA級には、まだ八段や七段の棋士が在籍することもあります。これは、実績的には九段に届かなくても、現在の実力は将棋界でもトップクラスであるということを表しています。
現在(81期)の名人戦は、下の表の通り確定しています。
順位 | 棋士 |
1 |
渡辺明か斎藤慎太郎(名人戦の敗者)
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2 | 糸谷哲郎 |
3 | 佐藤天彦 |
4 | 豊島将之 |
5 | 広瀬章人 |
6 | 永瀬拓矢 |
7 | 佐藤康光 |
8 | 菅井竜也 |
9 | 藤井聡太 |
10 | 稲葉陽 |
A級棋士の多くは20代から30代の、いわゆる「全盛期」の棋士。佐藤康光九段のように50歳を過ぎてもA級で戦い続けることのできる棋士や、逆に藤井聡太竜王のように非常に若くしてA級在籍を果たした棋士もいます。ただ、どの棋士にも共通しているのは現時点でのトップクラスの実力を持っているということです。
順位戦のクラスが重要な理由
順位戦のクラスは棋士の実力を測る非常に重要な指標。順位戦の上位クラスに在籍している棋士は、名人戦以外の棋戦でもその恩恵を受けることがあります。
王座戦予選 |
B級2組以上はシード
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棋王戦予選 |
B級1組以上はシード
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王将戦予選 |
A級以上はシード
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棋聖戦予選 |
B級2組以上はシード
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たとえば、上の表からも分かるように、いくつかのタイトル戦では順位戦上位クラスの在籍者は一次予選が免除されることがあります。タイトル戦の予選の競争は非常に激しく、シード無しの一次予選では5名程度しか通常は勝ち抜くことができません。
順位戦を楽しむ
順位戦は基本的には年中行われています。特に年明けの時期は、昇級を激しく争うような展開になることも。
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