四間飛車対策に悩んでいる人に一度は試してほしいのが、この飯島流引き角戦法です。飯島流引き角戦法は、引き角+棒銀を軸にした攻めを狙う指し方で、数ある四間飛車対策の作戦の中でも個性的です。駒組みもシンプルですし、即戦力になるであろう戦法です。
その他の四間飛車対策としては、急戦策や持久戦策が有力です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
飯島流引き角戦法とは
飯島栄治七段考案の対振り作戦
飯島流引き角戦法は、飯島栄治七段の開発した対振り飛車専用の引き角作戦です。
このように、角道を開けずに角を5七に設置して戦います。玉は左美濃に囲い、要の角と右銀で仕掛けていきます。
ノーマル四間飛車相手以外にも有効な戦法なので、形さえ覚えてしまえば様々な振り飛車に対して応用できます。
陣形の組み方
2六歩–4八銀–5六歩–7八銀–7九角–5七角–5八金右–6八玉–7九玉–8八玉
5七に角を設置してから、7八に銀がいる形を活かして左美濃に組んでいくのがポイントです。
飯島流引き角戦法の特徴
引き角+棒銀の攻撃力
棒銀の攻撃力も相当なものですが、それに引き角の利きが加わります。また角道を開けていないため、振り飛車側から角交換を挑む手もありません。
相手の角を捌かせず楽しているのも特徴です。
玉が堅い
飯島流引き角戦法は、確実に左美濃に組んで叩くことができる作戦です。相手の美濃囲いに固さ負けする心配はありませんし、角道を開けていないためより安全に囲いを組むことができます。その意味では、同じ引き角を軸とする嬉野流に勝っている部分でしょう。
5筋が弱点
これはマイナスポイントなのですが、角を5七に設置する関係でどうしても5筋の角頭が弱点になってしまいます。
なるべく5筋を攻められる前にこちらから動いていきたいところです。
このあたりはミレニアムなんかにも似ていますね。
ノーマル四間飛車(三間飛車)対策にオススメ
飯島流引き角戦法は、まさにノーマル四間飛車対策の裏技です。あまりメジャーでない分詳しい対策法を知っている人も少ないと思うので、実践的にも勝ちやすい作戦だと思います。
飯島流引き角戦法・序盤の指し方
今回は先手番視点で見ていきますが、本来は後手番の方が都合がいいです(相手の作戦を確認してから駒組みできるため)。先手番でも後手番でもやることは変わりません。
▲2六歩△3四歩▲4八銀△4二飛▲5六歩△3二銀▲7八銀△4四歩▲2五歩△3三角▲7九角△6二玉▲5七角△7二銀▲5八金右△7一玉▲6八玉△8二玉▲7九玉△5二金▲8八玉△9四歩▲9六歩△4三銀▲3六歩(下図)
お互いの駒組みがひと段落しました。先手も引き角+左美濃の形をつくり、強い戦いに備えています。
今回は、3七から銀を繰り出している指し方を見ていきます。▲3七桂から桂馬を主体に使っていく指し方もあります。
△2二飛(下図)
相手の仕掛けに備えて、2筋に飛車を回っておくのはよくある指し方。より安全に戦おうとしていますが、これに対しても銀を進出させていきます。
▲3七銀△6四歩▲4六銀△5四歩▲3五歩△4二角▲3四歩△同銀▲3八飛(下図)
3七~4六~3五といった感じで早速仕掛け、▲3八飛と回った局面。よくある急戦の仕掛け筋は、そのまま飯島流引き角戦法でも使えます。
舟囲い急戦の場合は、ある程度の戦果が上がったとしても「玉の堅さの差で逆転されてしまう」などといったケースがよくありますが、居飛車は左美濃の堅陣を作れているため、その心配がありません。
もちろん有利不利といった局面ではありませんが、相手の角を捌かせずらいのは先手の特権。先手陣が堅陣に収まっているのも、やはり心強いです。
4筋の位を取ってくる場合
振り飛車側がおとなしくこちらの攻めを受けてくれる展開を見ていきましたが、もちろん相手から積極的に動いてくるケースも考えられます。
ここでは相手が4筋の位を取ってくる場合の指し方を紹介します。
△4五歩▲3七桂(下図)
△4五歩には、▲3七桂と桂馬を活用していく指し方がおすすめ。相手が何もしなければ次に4五の歩を取ることができるので、後手はこの銀を支えてきます。
△5四銀(下図)
歩を支える一手は△5四銀が正着。代えて△4四銀でも良さそうに見えますが、これには▲2四歩から攻めていく手が成立します。
以下▲2四歩△同歩▲同角△2二飛▲3三角成△2八飛成▲4四馬(下図)で先手よし。
先手は銀得していますし、次に▲4五桂と跳ねられればもう攻めが止まりません。
正着の△5四銀に対しても、攻めを繋げていきます。
▲5五歩△同角▲2四歩(下図)
▲5五歩がうまい一手。△同銀には先程の筋があるので△同角と取りますが、それには▲2四歩として先手の攻めが決まっています。
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