このシリーズは、初段を目指しているけどあと一歩足りない人(将棋ウォーズでいうところの2級~1級くらいの人)が最短で初段を目指すための勉強法や身に着けておくべきことなどをまとめていきます。
今回は「初段になるために身に着けるべき力」ということで、これをしっかり身に着けることを第二の目標に取り組んでいくのをおすすめします。自分にはこの力が足りていないなどと明確にするのもいいと思います。
ただ、正直言って下記の条件は二段三段でも十分じゃない人が多いのでこれらを全て満たすのはかなり大変です。これらを全て満たすようになれば二、三段レベルの力は既についているかもしれません。
将棋ウォーズ初段を目指すにあたって身につけなければいけない力
序盤編
序盤で不利にならない力
単純ですが非常に重要。序盤で不利になるケースというと、大きく分けてこの2つだと思います。定跡を知らずに相手の手にまんまと嵌ってしまうケース、そして序盤の段階でミスをしてリードを奪われてしまうケース。
どちらのケースにせよ、大切なのは自分の指す定跡の知識をマスターするということでしょう。定跡書に書いてあるようなことは一通り覚えて、よく知られている変化には対応できるようにします。定跡書に書かれていないような変化に対しては、自力で対策を考えるのももちろんおすすめですが、将棋ソフトを使って対策を練ってみるのもよいと思います。
特定の苦手な戦法があるのであれば、こちらで紹介しているようなやり方で克服を目指してみましょう。

中盤編
大きな読み落としをしない力
中盤は、仕掛け(駒と駒が本格的にぶつかる時)から相手玉のことを考え始めるまでです。中盤戦は非常に複雑ですが、やはり一番重要なのは「仕掛け」の部分。自分の仕掛け筋の読みに不備があるケースをどんどん少なくしていくことが中盤力の強化に大いに役立ちます。別の言葉で言い換えると「勝手読みをなくす」ということです。
勝手読みをなくすためには、何といっても詰将棋がおすすめ。限られた時間で相手の複数の応手を考慮する良い訓練になります。

脳内将棋盤
これも中盤力強化の大きな部分です。脳内将棋盤とは、脳内で動く将棋盤のこと。目をつぶっていても頭の中で指し手を考えられる能力のことです。プロの棋士とかはこの力が非常に優れているそうです。脳内将棋盤があれば、読みの精度も上がれば読みの速さも上がるので一石二鳥でしょう。
脳内将棋盤の鍛え方のおすすめは、やはり詰将棋。特に詰将棋を脳内で解く(詰将棋の盤面を最初の一瞬だけ見て、そのあとはすべて頭の中で考えるようにする)ことで、盤面を見ずとも頭の中で駒を動かす練習をすることができます。
もちろんこのトレーニングは詰将棋以外でも実践可能。定跡書を脳内で並べてみるのもよいですし、プロの棋譜を脳内で流してみるのもよいと思います。
何となく手がみえるようになる
話がぶれますが、私たちはどうやって指し手を選ぶのでしょうか。しっかり考えるときは、1つの指し手に対してそのあとの展開を読み、他の手と読みと比較して、その中でどの手が一番良いかということを決めますよね。
ここで大きな落とし穴が一つ。手が思い浮かばなければどうしようもないのです。いくら手を読む力があったって、肝心の指し手の候補を絞り出せる力がなければ実戦では勝てません。局面を見て、「この手が良さそうだな」と分かるようになると、見える世界が違ってくるのでしょうか。
ということで「手がみえる」というのは想像以上に大切な能力です。これを鍛えるための勉強法は2つ。次の一手問題を解くことと、棋譜並べをすることです。おすすめの棋譜並べ用の本については、こちらの記事で紹介しています。
次の一手も棋譜並べも何度も繰り返すことが重要。一つ一つ並べるのが大変な方は、日本将棋連盟の中継アプリがおすすめ。良質な棋譜や指し手を体に染みつけていきましょう。
終盤編
速度計算をする力
終盤が弱いと思っている人の多くが、自分の詰ます能力や寄せる能力がたりないと思っています。もちろん正しいのですが、それだけではないのです。
そう、「速度計算の力」です。速度計算とは、自玉と相手玉の安全度を比較してどちらがより早く相手玉に迫れるのかというのを計算することです。この指し手だと速度負けするな、、、といった感じ。
速度計算に関しては「詰めろ」をかける力が重要になってきたりもします。将棋の終盤は「詰めろ」の連続で迫るのが鉄則(なぜなら相手は詰めろを受けるしかないから)。自玉に詰めろがかからず、相手玉は詰めろがかかる、そんな局面は寄せの速度という意味ではかなり有利です。
5手詰めを確実に詰ます力
7手詰め以上に手を出すよりも、5手詰めを確実に詰ませるようになることが効果的です。5手詰めに自信がついてきたなら、もう少し上のレベルに上げてもいいとは思いますが基本の5手がやっぱり大事です。
将棋ウォーズ初段を目指すための具体的な勉強法
得意戦法を一つ持ち磨く
いろいろな戦法にあれこれ手を出す必要はないので、得意戦法を一つ持って磨くことかははじめましょう。
僕自身居飛車党なので振り飛車の戦法はよくわからないのですが、居飛車党の場合は相居飛車の戦法(角換わり+横歩取り+矢倉 ただし横歩取りは回避可能)の2つか3つに対しての指し方、対振り飛車への指し方を角交換型かノーマル型かで分けて方針を立てると良いと思います。
大切なのはあまりたくさんの戦法に手を出しすぎないことです。オールラウンダーも強みではありますが、この段階ではまだ少ない数の戦法に絞って磨いていくのがおすすめです。

ソフトとの対局で苦手戦法をなくす
将棋を指していくうちに自分がどんな戦法を苦手にしているのかがわかってくると思います。もちろん実際の対局の中で苦手をなくしていくのも良いと思うのですが、必ずしも望んだ戦法を指してくる相手ばかりというわけではありません。
特定の苦手戦法(ここでは石田流としましょう)に対する耐性を強くするための練習としておすすめなのが、ソフトとの対局です。
ソフトなら、途中まで相手側に立って手を進めてやってから対局を再開することで、ソフトに特定の戦法を指させることができます。
ダウンロードするのであれば、無料だと水匠4改、市販の有料のものだと激指などがおすすめです。


詰将棋・次の一手問題・寄せの手筋問題をたくさん解く
得意戦法を磨くこと、苦手戦法をなくすことはどちらも重要ですが、それだけでは将棋を考える力や筋の習得には限界があります。
そこで、詰将棋/次の一手問題/寄せの手筋問題をとにかく大量に解いていくのがおすすめです。無理にレベルの高いものをやってひとつひとつに時間をかけるよりも、レベルの低めのものをどんどんどんどん解いていく方が力がつくという印象があります。


詰将棋は読みの力を鍛えるとともに詰みの形を頭に染み込ませ、寄せの手筋も同様に寄せの形、次の一手も中盤の一手を染み込ませます。
プロの棋譜をたくさん見る
これは先ほども紹介しましたが、棋譜一つ一つ並べるのは大変でも、毎日プロの将棋をたくさん見るようにしましょう。
課金があるので、無料で済ませたいという方は「棋譜DB2」でもよいですが、解説がある日本将棋連盟のアプリの方がおすすめです。
終わった棋譜は必ず見返す(ただし自己満足はやめる)
将棋倶楽部24やウォーズ/クエストで将棋を指した後は少しでもいいのでその棋譜を見直すようにしましょう。
時間に余裕がある場合はソフトにかけて検討するのがおすすめです。一番やってはいけないのが、快勝譜だけを振り返って満足すること。できれば自分の力が十分に出せなかったようなところを見ていくといいと思います。
最後に
もちろん初段は決して簡単な目標ではありませんが、達成不可能な目標ではありません。つい最近将棋を始めたような人でも、一年以内に初段になったというのは決して珍しい話ではなく、しっかりと伸ばすべき能力の焦点を当てれば達成可能なゴール。初段目指して、是非頑張ってください。
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