ウォーズ初段以上のレベルになると、大体自分の将棋の癖というものが分かってきます。特に、得意戦法や苦手戦法といったものが。今回は、どうやって「苦手戦法を克服するのか」について具体例を交えつつ紹介していきます(これは自分流のやり方なので、全ての人に合うかは保障できませんが、間違えなく効果は出ると思います!)
そもそも苦手戦法とは何か
自分の中で何となく苦手だと思っている戦法は必ずあると思います。でも、それが本当に苦手にしているのかは分かりません。苦手意識があっても勝率は比較的良いのか、苦手意識はないのになぜか勝てないのか、得意にしているつもりでも実は全然勝ててないなんてこともあります。
つまり、厳密に「苦手戦法が何か」を判断するのは実は難しいのです。そこまで難しく考えてもしょうがないので、ここでは自分が何となく苦手だな、と思っている戦法に焦点を当ててみてください。例えば僕ならゴキゲン中飛車が苦手なので、これを一つの例として使ってみようと思います。
前提:定跡など基本的なこと
苦手戦法を克服するといっても、それ以前の根本的な知識が身についていないと話になりません。具体的に個別戦法を対策するにあたって、根本的な知識は十分なのかをしっかり確認しましょう。
でも、場合によっては戦法を換えてみるのも有効です。例えば僕は今までずっと超速を指してきて、ゴキゲン中飛車を苦手としていました。それを一直線穴熊に変えたら感触はどうなるか?丸山ワクチンに代えたら感触はどうなるか?などを考えて見るのも良いと思います。
こちらも同様であまり考えすぎるとややこしいので、今回はとりあえず「超速対ゴキゲン中飛車で居飛車側を持ったパターンが苦手」としましょう。
具体的な練習法:将棋ソフトを用いる
苦手戦法をなくすためには、特定の戦法との良質な対局と綿密な検討が必要です。将棋の強い周りの人に頼んで手伝ってもらうのもありですが、時間などに制限があることを考えると、いつでもどれだけでも使える将棋ソフトを相手にするのをおすすめします。つまり、苦手戦法対策で将棋ソフトが有用なのかは次の二点でまとめられます。
- いくらでも戦型を指定して対局できる
- 棋譜検討や定跡研究ができる
今の時代多くの人がなにかしらの将棋ソフトをダウンロードしていると思いますが、まだダウンロードしていないという方は適当にダウンロードしてしまってください
技巧、elmo、水匠5などが無料で入手できる最先端の将棋ソフトです。ただし無料ということでこれらは機能が限られていますし、なにより無機質です。少しお金を払って市販ソフトを買ってでも良い環境で将棋をしたいという方は、「激指」シリーズのダウンロードがおすすめです。詳しくはこちらの記事からどうぞ。
1:とりあえず局面を指定して何回か指してみる+いろいろ検討してみる
とりあえず、途中まで手を進めて戦型を指定してから対局をしてみましょう。棋力の設定はおまかせします。
対局後には検討も忘れずに。これだけでも十分勉強になります。ですが、これだけで苦手戦法を克服できればこんなに簡単なことはありません。もう少し別の方向からのアプローチが必要です。
2:視点を変えて指してみる
一番おすすめの勉強法が、相手側を持って指してみるということです。ソフトは自分より強い設定にした方が良いでしょう。今まではずっと片方しかもって指してこなかったわけなので、相手から見た戦型への見方が変わります。
相手方を持ってみることで相手の見えずらかった弱点も見えてきますし、狙いもわかってくるはずです。そして何よりも普段やれれて嫌な手を指してみて、ソフトに冷静な対応をされると案外大変でないことが分かります。ソフト流の鋭い攻め筋を身をもって学べるのもメリットです。
定跡の範囲内なら対応できても、定跡から外れて悪くなりがちなことがっても、いろんな手を試してみれば惑わされることはなくなります。
3.嫌な展開への耐性をつける
ある戦法を苦手にする背景には、少なからず「いつもこんな展開になって指しにくい」なんてものがあると思います。
2.で説明したような「視点を変えて指す」ことに加えて、あえて自分の苦手な展開を作り、そこからソフトと戦ってみるというのも一つのやり方です。
終盤もやってみる
序中盤だけやるのはもったいないので、折角なら終盤もやってみましょう(もちろん相手をもって)。居飛車党で対振りの戦型を特にしている人なら、美濃囲いの厄介さが分かると思いますが、相手方を持って指してみると、案外美濃は脆いということにも気づきます。これと同じようなことはどの戦型で言えるでしょう。
急戦系の将棋ではいくら序中盤で優勢を築いても、最後に逆転されてしまうなんてことが良くあります。こういったとき、敗因を終盤力のせいにしてしまいがちですが、本当はもっと前の段階に原因があるのかもしれません。
そういったことを明らかにするためにも、序中盤で終わりにせずに最後の最後まで指す方がおすすめです。
最強の手段は「研究」
ソフトで相手側をもって指してみようという方針とは全く別のものとなりますが、本気で苦手戦法を克服したいのであれば独自定跡を作ってみる、すなわち自分で研究をしてみるというのがおすすめです。かつては研究というのはプロがやる作業で、アマチュアはそれをただ学ぶだけでしたが、現在は将棋ソフトの発展によって一般のアマチュアへの距離がかなり縮まっています。
研究手順が評価値的には不利だとしても、実際には研究をしたもの勝ちの世界です。一般的には若干不利だと思われているためにだれも踏み込まないような手順をひたすらに研究しつくすというのもそれはそれでありなのではないでしょうか。