【将棋】四間飛車戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説

ノーマル四間飛車は、振り飛車の王道中の王道。棒銀戦法や右四間飛車、中飛車と並んで初心者にもよくおすすめされる戦法です。ノーマル四間飛車は、対穴熊中心に積極的な作戦が採用されているとはいえ、やはり「受け」主体でカウンターを狙っていく戦法です。その他の攻撃的な振り飛車と比べて狙いが分かりずらいというのも四間飛車を学ぶ上での難しいところです。

とはいっても、最初に学ぶ戦法として四間飛車は決して悪い選択肢ではありません。「指しまわし方が難しい」というのが最大の難点ではありますが、それをも克服できればかなりの力がついているでしょう。ということで、今回は四間飛車戦法の基本的な指し方を紹介していきます。といってもがっつりとした定跡ではなく、勝ちやすい指し方、といったようなもっと実践的なものを中心に見ていきます。

なお、角交換するタイプの四間飛車「角交換四間飛車」も非常に人気です。角交換四間飛車については、『角交換四間飛車戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説』で解説しています。

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基本の定跡~序盤の構え~

まずは飛車を振る

▲7六歩~▲6六歩~▲6八飛までがお決まりの手順。

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早い段階で角道を閉じてしまうのは、もちろん6筋から攻めていくぞ、という勢いでもありますが、それ以上に角交換をさせないことで序盤は穏やかな戦いにしていこうという意図の方が大きいでしょう。

8筋に備える

▲7七角~▲7八銀~▲6七銀と、角を上げて8筋攻めに備え、さらに銀を上げることで角頭を守ります。

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この辺りは手順前後があっても構いません。相手が早めに8筋をついてきた場合はそれに応じて角を上がっておかなければいけません。角を上がることで、つぎに▲8六歩から歩交換される筋をなくすことができます。

玉を固く囲う

▲4八玉~▲3八玉~▲2八玉~▲3八銀~▲5八金左が玉を囲う手順(先に銀をあがるなど、複数の手順があります)。美濃囲いと呼ばれる振り飛車を指す上で絶対に覚えておきたい基本の囲いです。

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横からの攻めにかなり強く、ちょっとやそっとのことでは崩れません。この固さを武器に戦っていきます。美濃囲いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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自分から攻めるなら「四間飛車棒銀」「玉頭銀」がおすすめ

ノーマル四間飛車は本来自分から積極的な攻めをしていく戦法ではなく、相手の攻めをいなして反撃を仕掛けることに重きを置いた戦法です。ですが、実際には「攻めている方が勝ちやすい」というのが一般的な傾向です。使うか使わないかは置いておいて、考えられるいくつかの四間飛車側からの攻め筋をはじめに紹介しておきます。

四間飛車棒銀

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▲6五歩~▲6六歩と出て、棒銀(飛車と銀の数の攻めで突破する戦法)チックに攻めていくことが場合によっては可能です。相手の角道が開いているときにこれをやってしまうと、△7七角成▲同桂△8六歩(下図)といった感じで2筋を突破されてしまうので、相手の角道が閉じているときに狙うのがおすすめです。

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玉頭銀

玉頭銀とは、その名前の通り相手の玉頭をめがけて銀を繰り出していく指し方です。

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具体的には▲6七銀の基本の形から▲5六銀~▲6五銀といった感じ。すぐに有利になるというわけではありませんが、相手からするとかなりのプレッシャーですし、序盤の歩得は決して小さくありません。

対急戦の定跡

急戦の中でも、原始棒銀、舟囲い急戦はともに居飛車側がとってくることの多い戦術です。原始棒銀はその名の通り玉を囲わずに一目散に8筋めがけて攻めてくる指し方。

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棒銀に対しての対策法については、『四間飛車での原始棒銀対策決定版!棒銀を捌くおすすめの指し方』で詳しく解説しています。ぜひ目を通してみてください。

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舟囲い急戦は舟囲いと呼ばれる囲いに囲ったうえでの急戦策で、棒銀以外にもいくつかの指し方があります。例えば下図は、4六銀左急戦(斜め棒銀)と呼ばれる急戦策の一つ。5三の銀が、ニョキニョキと角頭めがけて攻めてくる形が特徴的です。

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4六銀左急戦は、棒銀とならんで、最も有力な居飛車急戦策の一つです。こちらの記事は居飛車視点ではありますが、四間飛車側からのあらゆる対策を網羅しています。

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結論は、「互角」です。居飛車側が気持ちよい展開が続くことも多いものの、振り飛車の一番の強みである「美濃囲いの堅さ」を活かして、勝ちやすい流れにもっていくことも可能です。

今回は特定の急戦策に対しての戦い方、というよりも、棒銀、斜め棒銀、4五歩早仕掛けなど、複数の急戦策に対する共通の指し方として、いくつかの例を紹介しておこうと思います。

切り札▲6五歩で捌く

四間飛車の切り札は▲6五歩。飛車角の通りが一気に通る大きな一手です。先ほどの図であれば銀が6四にいるところにちょうど▲6五歩が入るので一層効果的。

ただし、この角交換のタイミングを見極めることも重要。早い段階で交換してしまうとそのあとの指し手が難しくなるため、相手の攻めに応じた戦い方が必要となります。

なお、『四間飛車での原始棒銀対策決定版!棒銀を捌くおすすめの指し方』では、棒銀対策として、早めに▲6五歩と角交換を挑む形を詳しく解説しています。

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戦いが起こる筋に飛車を回る

これは有名な言葉ですね。まさに振り飛車の基本を示しています。四間飛車に対して銀を活用してくる急戦の場合は大抵3筋に標準を合わせてきますが、これに対して振り飛車側も3筋に飛車を回ります。

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将来、銀がどいたときに飛車道がすっと通ってくる意味もあり捌きやすい体制を作っています。

安易に歩を取らない=銀を五段目に極力出さない

相手が銀で攻めてくる場合は極力相手の銀を5段目に出さないようにします。5段目まで出してしまうと、たいていの場合は攻めが続いてしまいます。そうなってはいけません。

なので、飛車をその筋に回るなり、うまく角道を開けるなどして、それだけは避ける必要があります。

角の転換も考える

▲4六角で飛車を睨む筋や、▲5七角で先手の棒銀を牽制する筋はよく出てきます。

飛車の前に何か相手の駒がある場合は角を転換しても飛車先を突破されることはありません。ただし、角筋には注意します

対穴熊戦の定跡

居飛車が序盤から積極的に攻めてくる展開では、とにかく囲いの堅さのアドバンテージを活かして勝つという方針がおすすめです。それに対して対穴熊戦では、ここまで組まれてしまうと固さではかないようがありません。

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居飛車穴熊の指し方については、上の記事で解説しています。「四間飛車対策」という名前からもわかるように、居飛車視点で書かれていますが、四間飛車側からの具体的な2つの指し方(△4四銀型と△5五銀型)を紹介しています。

穴熊の強いところは何といっても、一度完成してしまうと手が出ななるところ。なので、穴熊に万全の体制を整えられる前に四間飛車側から積極的に仕掛けていくのがおすすめです。

1.基本の構え+αをまず作る

最初に紹介した四間飛車の基本の構え作るのは変わりませんが、穴熊に対して積極的に攻めていくにあたって、少し囲いを発展させてみるのがおすすめです。

簡潔にまとめると「桂馬を跳ねる」ことと「端歩を伸ばす」こと。下図の高美濃の形が一つの例です。

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余裕があれば銀冠というよばれる美濃囲いの最終形を作ってみてもよいでしょう。上からの攻めにかなり強くなります。

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2A.角道を絡めて相手玉を直接攻める(玉頭銀風)

具体的な攻め方としては2つあり、玉頭銀はそのうちの1つです。狙いは、相手の玉そのものを攻めること。玉から遠い相手の右辺は相手にしません。

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ここから▲4五歩で仕掛けていきます。相手玉は角道の射程上。銀や桂馬を絡めて攻めていけばかなり勝ちやすいと思います。注意点としては、こちらも角がいなくなってしまうと、△8六歩から飛車を簡単になり込まれてしまうということです。ゆっくりとし戦いになると穴熊の方がかなり有利になってしまうので、速攻意識で、どんどん攻めていきましょう。

2B.▲6五歩・▲6六銀から6筋を攻める(四間飛車棒銀)

もう一つの攻め方としては、四間飛車棒銀が挙げられます。穴熊からの距離は離れてしまいますが、やはり棒銀なだけあって破壊力にはすさまじいものがあります。

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一つの狙いは、▲5六歩~▲5五歩から銀を5筋、5段目に進出させること。銀を5五の位置に構えることができれば、▲6四歩から棒銀の要領で攻めていくことも可能ですし、▲4五歩から玉頭銀と同様に玉を射程に入れて穴熊そのものを攻めていくこともできます。

3.最後は端攻めで何とかする

最終手段は端攻めです。歩を何枚か持っている状態で▲1四歩△同歩▲1三歩△同香▲2五桂が一連の手順。

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角道や飛車も絡めて攻めるとかなり受けずらいはず。相手は香取りを受けることができません。桂馬を銀でとっても、銀でとっても、相手陣の連携は崩れます。注意点としては、美濃囲いも実はあまり端攻めに強い囲いではありません。例えば、香車がいない状態で△1六桂などと王手をされると、すぐに王様が捕まってしまうような形です。自陣の状況とのバランスを見ないと、逆に端攻めを利用されてしまいます。

上級定跡

今回は角道を閉じた昔ながらのノーマル四間飛車を中心に紹介してきましたが、実は四間飛車にはレパートリーがたくさんあります。玉頭銀や四間飛車棒銀などを使って、実際にはノーマル四間飛車側からも積極的に攻めかかっていくことは可能ですが、実際にはそこまでポピュラーではありません(それでもおすすめしますが)。というのも、ノーマル四間飛車という戦法そのものが受け重視の戦法だからです。ノーマル四間飛車で積極的攻める、というのにはやはり限界というものがあるようです。

ということで、上級定跡のコーナーで紹介する2つの指し方は、どれも玉頭銀や四間飛車棒銀以上に果敢に居飛車に攻めかかっていくタイプの四間飛車です。

藤井システム

藤井システムは、藤井猛九段が考案した居飛車穴熊(+左美濃)対策に特化した指し方。

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5筋より左の構えは基本的にノーマル四間飛車と何ら変わりないので、全く別の戦法というわけではありませんが、居飛車穴熊に対する考え方が全く異なります。

5筋から右を見てみると、美濃囲いの形はあるものの、玉は居玉(5九)の位置のまま。藤井システムは、ここから角道を開けたり、桂馬を跳ねたりして玉のコビンのラインを直接狙っていく指し方です。つまり、穴熊が完成する前に片付けてしまおう、という恐ろしい戦法です。玉を5九のままにしておくことで、余計なところに手数をかけず、かつ玉を戦場から話しているというメリットがあります。

角交換四間飛車

角交換四間飛車も、藤井猛九段が採用し始めたことで火のついた新しいタイプの四間飛車です。順番的には藤井システムの後にブームが来た戦法。

四間飛車といえば角道を止めるのが普通でしたが、角交換四間飛車はその名前の通り序盤から角交換をして始まります(後手が角交換四間飛車)。

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玉を美濃囲いに囲う、などはノーマル四間飛車と変わりありませんが、大きな違いは両者が角を手にしていることと、3三の地点に銀がいることです。ここからは飛車を2二(向かい飛車の位置)に動かして、2筋方面から銀と連携して攻めていくのがメジャーです。『角交換四間飛車戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説』で詳しく解説しています。

【将棋】角交換四間飛車戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説【おすすめ棋書も】
角交換四間飛車は藤井猛九段の流行させた、新しいタイプの四間飛車です。角道を止めて落ち着いた戦い方を目指すノーマル四間飛車...

おすすめ棋書

四間飛車を指しこなす本

これらは言わずと知れた藤井猛九段の名著。全3巻からなり、次の一手形式なので初心者でも読み進めやすくなっています。

四間飛車を指しこなす本 1

四間飛車を指しこなす本 2

四間飛車を指しこなす本 3

四間飛車上達法

こちらも同じく藤井猛九段の棋書。いわゆる定跡書ではなく、四間飛車を用いてどう上達していくかといったところを説明している本です。

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四間飛車
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日々頓死
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公開日:2020年4月2日