振り飛車の囲い

【将棋初心者向け】美濃囲いの基本の組み方・発展の手順と指しまわしのコツ

美濃囲いは、振り飛車での最も基本的な囲いです。居飛車相手へのイメージが大きいかもしれませんが、相振り飛車戦でも使用可能。どんな相手にもある程度戦うことができ、かつ覚えやすい、という万人におすすめの囲いです。

居飛車党の「矢倉」と対をなすような、振り飛車を代表するような囲いの美濃囲いですが、実際にはいくつもの種類や発展形があります。ただし、本美濃(いわゆる普通の美濃囲い)に発展する前の片美濃や、本美濃から発展してできる高美濃、銀冠などは使用例も非常に多く、組み方の手順や指しまわしのコツを覚えておいて損はありません。今回は、そのような美濃囲いとその発展形の基本の組み方や、長所・短所、また差し回しのコツについて紹介していきます。

もっと他の囲いを知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。主要な将棋の囲いを戦型別に紹介しています。

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美濃囲いの組み方

初手からの指し手 7六歩 6六歩 6八飛 7八銀 6七銀(四間飛車基本図)

美濃囲いは振り飛車で使われる囲いです。もともと飛車のあった2筋に玉を移動させていく関係上、美濃囲いを組んでいく前に飛車を他の筋に振っていく必要があります。今回は四間飛車の序盤を例として用いていますが、三間飛車や向かい飛車の序盤でも同じ展開になります。

四間飛車基本図からの指し手 4八玉 3八玉 2八玉(下図)

玉を2筋方向へ移動させていきます。3八玉ではなく3八銀とする指し方もあるので、後述します。

以下 3八銀 (下図)

3八銀とすれば、美濃囲いの一歩手前の囲いである片美濃囲いの完成。このままでも戦うことはできますが、さらに囲いを固くするために左の金を囲いにくっつけます。

以下 5八金左 1六歩(美濃囲い基本図)

5八金左として美濃囲いの基本の形は出来上がっています、最後に1六歩とはついておきたいところ。端歩を突くことで、玉の逃げ道が広がり、美濃囲い完成です。

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美濃囲いの組み方のバリエーション

先ほども少し触れましたが、3八玉に代えて3八銀とする組み方も存在します(下図)。

この場合、5八金左から囲いを完成させて、下図のように3九に玉を置いたままにする戦い方が可能になります。

相手が美濃囲いの上部からの攻めを狙ってきている場合や、こちらが1筋・2筋方面からの端攻めを狙っている場合などは、玉を戦場から遠ざける意味で玉を7九に置くことがあります。7八銀や6八金の美濃囲いの形は完成しているので、玉が3筋にいるとはいえ、これでも非常に安定した形です。

美濃囲いのバリエーション

先ほど紹介した美濃囲いの最も基本的な囲いを「本美濃」と呼び、美濃囲いには本美濃をさらに変形してできる発展形がたくさんあります。

片美濃

片美濃囲いは先ほども少し触れたように、本美濃になる一歩手前の形です(下図)。

玉の囲いは金銀3枚が原則ですが、片美濃に限っては金と銀の2枚だけ。脆い、ということはないものの、そこまでの耐久力はありません。そのため実践では、さらに6九の金を一手かけてくっつけることで、後で紹介する本美濃を作るパターンが多いです。

例外として、下図のように中飛車(5筋に飛車を振る戦法)で戦う場合には本美濃の代わりに片美濃を採用することが一般的です。

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これは、5筋に飛車がいるために、5八に金をくっつけられないことが原因です。固さこそ本美濃に劣るものの、金を7八に置きつつ飛車を下段に引き、バランスの取れた陣形を作っています。

高美濃

高美濃は、4六の歩を突くことで4七にスペースをつくり、金をその位置に挙げて戦います。

一般的には4七の金が上ずっており「悪形」と呼ばれますが、美濃囲いの場合は上からの攻めに備える意味あいがあり、実際には人気です。

高美濃囲いの組み方の手順

美濃囲い基本図から 4六歩 4七金(高美濃基本図)

基本的な高美濃の形はこれで完成ですが、下図のように▲3六歩~▲3七桂から桂馬を跳ねるのもよく見られます。

この形は、右桂の端攻めへの活用を視野に入れれています。

銀冠

銀冠は、名前の通り、銀を2三の位置(玉の冠)に置くのが特徴的です。高美濃からさらに数手をかけて発展させます。

銀冠の組み方の手順

高美濃基本図から 2六歩 2七銀 3八金(銀冠基本図)

銀冠の形自体はこれで完成です。ただし、実際にはここから▲3六歩、さらには▲3七桂とする形も一般的です。

桂馬を跳ねることにより、端攻めが視野に入る一方で、桂頭を狙われやすくなったり、端への利きが少なくなったりと、デメリットもあります。▲3七桂は跳ねずに、▲3六歩だけでとどめておく形(下図)など、様々な可能性があります。

また、銀冠を指す上で気を付けたい点として、▲2七銀と上がる瞬間が挙げられます(下図)。

この瞬間、駒の連結は崩れ、6九の金が浮き駒になってしまいます。居飛車側からしてみると、この瞬間は一気に攻めを仕掛けるチャンス。銀冠に発展させる際には、相手からの仕掛けがないかを常に警戒しましょう。

ダイアモンド美濃

ダイアモンド美濃は実戦で現れることは稀ですが、その陣形が非常に美しく、名前がよく知られています。ダイアモンド美濃とはずばり、攻めに使われることの多い振り飛車の左銀が4七に移動して、本美濃囲いにくっついた形のことです。

ダイアモンド美濃の組み方の手順

美濃囲い基本図から 5六銀 4六歩 4七銀

美濃囲いの長所

横からの攻めに強い

美濃囲いの一番の長所は、横からの攻めに対する耐久性です。下図は本美濃の基本的な形。

金・金・銀の連携が美しく、簡単には崩れません。また金底の歩が打てる形であれば、下図のように5九に歩をうち、さらに相手の攻めを遠ざけることができます。

手数がかからない

片美濃囲いであればたったの4手、本美濃でもたったの5手で完成してしまいます。堅さでいえば穴熊には劣るものの、かかる手数を考えれば十分すぎるほどの堅さです。

美濃囲いの短所

上方面からの攻めに弱い

美濃囲いは発展なしでは非常に平たい囲いです。全体的な厚みがないので、玉のコビンを狙う攻めや、単純な端攻めに弱くなってしまいます。例えば、有名な美濃崩しの手筋として下図のような角筋+桂馬の組み合わせが挙げられます。

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上図では、振り飛車側から同歩と桂馬を取ることはできず、どこに逃げても△2八金で詰み。上からの攻めに強くなるためには、高美濃や銀冠への発展が必要です(逆に言えば、発展さえしてしまえばこの弱点はカバー可能)。

2八の地点への利きがない

美濃囲いは、3八に銀がいる関係で、2八の地点(玉のいる場所)への利きが何一つありません。なので、一度王手がかかると玉がかなりつかまりやすくなってしまいます。例えば下図。美濃囲いでは、このような桂馬による王手が厳しいものとなります。

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美濃囲いを使いこなす上でのコツ

平たい方が堅い

どの囲いにも共通するのですが、基本的に囲いは平たければ平たいほど固くなります。例えば下図。歩を一つもついていない美濃囲いです。

それに対して、4筋から2筋の歩をついているのが下の図。

2枚目は、「厚み重視」。この後は金を上がったり桂馬を跳ねたりすることを狙っています。もちろん、そうなれば上からの攻めに強くなり、それはそれでまた有力な形ではあるのですが、単純に横からの攻めに対する耐久性だけを見た場合は、1枚目の歩を一枚もついていない状態の方が堅いといえるでしょう。例えば2枚目だと、空いたスペースに相手から駒を打ち込まれてしまう可能性があります。

端歩は突く

美濃囲いを指す上で、端歩は生命線。例えば下図。先ほども紹介した美濃崩しの手順です。

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この場合は玉の逃げ道がなかったために、振り飛車側が負けてしまいましたが、もし仮に端歩をついていたらどうでしょうか。

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△2八金に対しては、この場合は△1七玉、と上にかわして延命可能。

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これは極端なケースではありますが、美濃囲いにおける端歩の重要性がわかると思います。

玉の位置には柔軟に

美濃囲いにおいて、玉は必ず2八の位置に置かなければいけないわけではありません。例えば藤井システムという対居飛車穴熊専用の戦法では、美濃囲いのような形をつくりつつ、玉を居玉のまま動かさないことで、戦場からなるべく遠ざけています。

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ここまで極端でなくても、特に穴熊相手に戦う場合、玉を3九において戦うのはよくあることです(下図)。

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最後に

美濃囲いは、振り飛車の最も基本的な囲いの一つです。対居飛車でも、相振り飛車でも使えるほか、発展の手順も用意されており、使いこなしやすい囲いでもあります。振り飛車を指す場合は美濃囲いさえマスターしてしまえばとりあえずは玉の囲いという面で心配する必要はありません。振り飛車と美濃囲いは基本的にはセット。両方の指し方をしっかり覚えれば、勝率アップは間違えなしです。

おすすめ書籍

囲いを覚えて、さらにそれを指しこなしていくうえでは、組み方だけでなく、どのようにその囲いを実戦で使っていくのかが重要です。美濃囲いについては、何冊か美濃囲いに特化した棋書が出されています。

美濃囲いを極める77の手筋



美濃囲いの活用法に関する手筋をまとめた一冊です。

美濃崩し200



こちらは美濃「崩し」に特化した一冊ですが、美濃囲いを指す側からでも知っておいて損はない知識が得られます。こちらは数ある棋書の中でも名著とされる一冊です。

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