初心者講座

【将棋初心者向け】序盤の指し方と考え方・戦法別の基本定跡や囲い方を徹底解説【序盤のコツ】

将棋の戦いは、大きく「序盤」「中盤」「終盤」の3つに分けられます。序盤は、大きな戦いを起こす前の前準備、中盤は駒と駒がぶつかり合って本格的な戦いが起こる段階、終盤は大きな戦いがひと段落して、相手の玉を追い詰めていくフェーズのことを指します。

今回は、特に将棋の「序盤」における具体的な指し方や、何を考えればいいのか、という点に焦点を当ててみます。

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序盤とは

「序盤」の定義は難しいですが、あえて定義しようとすると、初手から仕掛けまで、のこととまとめられます。仕掛けとは、具体的には駒と駒をぶつけ合うことです。

例えば下図。初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金、と進んだ相居飛車でありがちな局面。

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ここから先手が▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛(下図)となると、激しい横歩取りの戦いになります。

ここまでくると、もう初手から十数手にして中盤戦に突入です。ここからは、お互いに角交換をして角を打ち込んだり、といった激しい展開に進みます。

しかし、すべての戦法でこのような激しい戦いがすぐに始まるわけではありません。居飛車対四間飛車の戦いを見てみると、お互いに攻めの陣形と守りの陣形を組み合ったのちに、初めて居飛車側から仕掛けの一手を放ちます。

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上図では、ここから▲4六銀~▲3五歩と仕掛け、本格的な戦いが始まります。このように居飛車VS四間飛車の場合は、序盤は数十手に及びます。

ただし、一般的には「角交換」や、「飛車先の歩交換」は仕掛けに含まれず、序盤の定跡の一部とみなされています。例えば、下図は相居飛車の角換わりでよくみられる形。

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両者が角交換をすでに済ませていますが、本格的な戦いはまだ起こっておらず、お互いに自陣を整備している状況です。この場合は、まだまだ長い序盤戦が続くのだと思ってよいでしょう。

序盤=戦いが起こるまで。ただし戦法によっては序盤はほどほどに直ぐに戦いを起こしてしまう。一般的には、自陣の整備に時間を費やす。

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最序盤の指し方

序盤の指し方のうち、最も重要なのが、最序盤で何を指すかです。最序盤の指し手は、今後の指し手の方針にも大きく影響してきます。

初手は▲7六歩か▲2六歩(後手の場合は△3四歩か△8四歩)

将棋の初手は、ほぼ100%、角道を開ける▲7六歩か、飛車先の歩を進める▲2六歩に絞られます。両者とも、将棋の駒の中で最も強力である2つの大駒のうちのどちらかを活用しようという意味で、とても分かりやすいでしょう。

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▲7六歩や▲2六歩に代えて、例えば▲4八銀など(下図)と、金銀を動かすことを考える人もいるでしょう。

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この手のせいですぐに形勢が崩れてしまう、ということはありませんが、あまりしない方が無難です。というのも、大駒を動かすための一手、特に▲7六歩はどう転んでも悪い方向には働かない一手。自陣の駒の動きを邪魔してしまうこともありません。逆に、上図のように大駒を活用する前に金銀を動かしてしまうと、飛車が横に動けなくなったり、角の活用が遅れてしまったりと、いいことはあまりありません。

また、初手は戦型選択をするという意味で非常に重要です。将棋には大きく分けて、2つの戦い方があります。

一つ目は、居飛車で、飛車を初期位置に置いたまま、2筋方面から戦っていく指し方です。

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もう一つは振り飛車で、飛車を左辺に動かして使う指し方です。飛車を動かす位置によって別々の名前が付けられていますが、すべての振り飛車に共通しているのは、2筋の歩を突き出すことはせず、左辺中心に攻めの陣形を整えてていくことです。

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ここで、初手がいかに重要なのかが現れています。例えば、初手▲7六歩とした場合は、この後居飛車を選択することもできますし、振り飛車を選択することもできます。しかし、▲2六歩とした場合は、振り飛車の選択肢はなくなります。▲2六歩はいわば「居飛車で行く!!」と宣言したような一手。力強い反面、自分の戦型選択を狭めてしまうきらいがあります。

だからといって▲2六歩がダメかというと、そんなことはありません。居飛車にはいくつか角道を開けない戦法があり、例えば、一部の相掛かりの戦法や、原始棒銀(上の居飛車の図)で果敢に飛車筋一本で攻めかかるのであれば、角道を開ける手が無駄になる可能性もあります。

振り飛車を指すなら初手は▲7六歩一択、居飛車なら▲7六歩が無難だが▲2六歩もアリ

なお、居飛車を最初に学ぶべきか、それとも振り飛車から学ぶべきか、は意見の分かれるところです。最終的には自分の好み次第、となるのですが、もし居飛車と振り飛車の戦い方の違いなどに興味があれば、こちらの記事を参考にしてみてください。

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その後は仕掛けまで定跡通りの指し手が進む

その後は、基本的に仕掛けまで、大抵の戦法には「定跡」とよばれる基本的な指し手が用意されています。「この通り指していればまず不利にはならない」という手順です。

定跡は序盤の段階までは綺麗に整理されているものの、駒がぶつかってからは定跡に頼れない部分も出てきます。とはいえ、序盤は定跡を覚えておけばまず安心。例えば下図は四間飛車VS居飛車急戦の、四間飛車側からの定跡(後手)。

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ここでの定跡は、「飛車を4筋に振る」「3三に角を置いて2筋を守る」「銀を出して角頭を支える」「玉を美濃囲いで囲う」など。それぞれにも細かい手順があるのですが、大体はこんな感じです。

こうしておけば、序盤で一気に不利になることはありません。角が3三にいるので、すぐに2筋から攻められることはありませんし、銀で角頭のケアもばっちり。玉も戦場から遠くに逃がすことに成功しています。

ただし、実際問題、基本的な考え方を分かっていない状態で定跡だけ覚えようとしても、勝てるようになるかというとそのようなことはありません。なぜこのような指し手をしているのか、どういった方針で指しているのか、というのを理解しないと、特に相手が定跡から外れた手を指してきたときに対応に苦慮するでしょう。

序盤の大切な考え方

ということで、ただ定跡を覚えるだけではなく、どういった考え方に基づいて序盤戦が行われているのかを理解することが重要です。といってもあまり難しいことではなく、序盤戦では次の2つが重要になります。

・攻めの陣形を整える(飛車・角・銀・桂馬の活用)

・守りの陣形を整える(玉を囲う)

序盤戦が、駒が本格的にぶつかる中盤戦への準備段階だと考えれば、上の2つが重要なのは当然。攻めの陣形を整えてからでないと、本格的な戦いには挑めません。下の記事でも解説していますが、例えば飛車単体で(1つの駒で)攻めたとしても、相手が金銀フル活用して(2つ以上の駒で)受けてくれば、相手陣にはもぐりこめません。これは単純な数の問題ですが、こちらの攻め駒である飛車・角・銀・桂馬を最大限に活用した状態で攻められるようにしないと、単調な攻めになってしまいます。

攻めの陣形を整えるのに加えてもう一つ重要なのが、守りの陣形を整える、すなわち玉を囲いに入れる、ということです。居玉のままで(5九の位置のままで)玉を放置してしまうと、ふとした瞬間に玉がすぐに寄せられてしまいます。しかし、しっかりと玉を囲っていると(下図)、、、

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玉の周りに強力な守り駒が多く、簡単に敵の攻めを寄せ付けません。強力な玉の囲いは中盤戦を進めるにあたって必須です。

序盤の考え方1:攻めの陣形を整える

「攻めは飛車角銀桂」とあるように、攻めの陣形を整える際の基本は、これらの駒を活用させることです。ただし、場合によっては「飛車角銀」だけであったり、「飛車銀桂」だけであったりと、この言葉の限りではありません(角が持ち駒にあるケースも多いです)。

居飛車のパターン1:飛車と銀の陣形

将棋の最も基本的な攻め方のパターンは、飛車と銀の組み合わせです。下図では、2筋を飛車と銀(+歩)の連携で突破することを狙っています。

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この形は棒銀と呼ばれ、最も基本的な攻めの陣形のひとつ。この形の基本の狙いは数の攻め。2三の地点の守りは金一枚なのに対して、攻めは飛車と銀の2枚。このまま▲2四歩としかけられれば、突破は確実。

飛車と銀の連携を利用した、棒銀戦法の基本定跡についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

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居飛車のパターン2:飛車と銀と角の陣形

飛車と銀の組み合わせに、さらに角を追加することも可能です。例えば下図では、角道を開けることで、角の睨みをきかせています。

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2四の地点に銀・飛車に追加して角の睨みを聞かせています(数の攻め)。ただし、このパターンは少なくとも相居飛車の場合はまれ。というのも、お互いに角を手持ちにして戦うことがかなりあり、結果的に飛車+銀か、次に紹介する桂馬も合わせた形に合流することが多いからです。

居飛車のパターン3:飛車と銀と桂馬(+角)の陣形

居飛車で、特に相居飛車の戦いでよくみられるのが、銀を5六に配置して、桂馬を跳ね、さらに飛車を4筋に動かした形です(飛車を振ってはいますが居飛車として扱われます)。

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この場合は4五の地点を争点に、桂馬、銀、飛車の利きを集め、さらには1一の方向に角道を通しています。

【将棋初心者におすすめ】右四間飛車戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説
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右四間飛車戦法は、攻め駒を最大限活用でき、破壊力も抜群なので初心者におすすめの戦法の一つ。ぜひ試してみてください。

振り飛車のパターン1:飛車と銀の陣形

振り飛車でも、基本的な攻めの陣形は居飛車と変わりません。下図は飛車を5筋に振る中飛車ですが、飛車と銀を進出させることで、最初のパターンと同様数の攻めを狙える形。

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振り飛車のパターン2:飛車と銀と角の陣形

さらに攻撃力を増やしたいのであれば、5筋の利きに角を追加することができます。

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上図の構えは端角中飛車と呼ばれ、ある程度定跡化されています。この先は、銀や桂馬と連携した攻めが可能。詳しくは、こちらの記事で少し解説しています(一般的には奇襲戦法とみなされます)。

【基本定跡】将棋初心者におすすめ!おすすめの奇襲戦法(嵌め手)の指し方まとめ
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振り飛車のパターン3:飛車と銀と桂馬と角の陣形

振り飛車の理想形と呼ばれるのは、飛車・銀・桂馬・角を余すことなく活用した石田流と呼ばれる形(下図)です。

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上図は、飛車を浮かせることで桂馬が飛車の動きを邪魔するのを防ぎつつ、角と銀も最大限に活用した綺麗な形。こうなれば、すべての駒が最高効率で働いています。

序盤の考え方2:守りの陣形を整える(囲い)

序盤で大切なのは攻めの陣形を整えることだけではありません。

【将棋】囲いと玉の守り方の基本 ー 将棋初心者向けのおすすめ囲い4選(戦法別)
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囲いの詳しい作り方や、おすすめの戦型別の囲いについてはこちらで細かく解説していますが、囲いを作るうえでは、次の2つ、

・囲いの堅さ

・囲いの遠さ

が重要となります。なるべく玉を戦場から離しつつ、かつ金銀を集めて囲いを固くするのが、囲いを選ぶうえで大切になります。とはいえ、上の記事でも紹介しているように、戦型に応じて大体どの囲いを選ぶ出来なのか、は決まっています。詳しい囲い方は先ほどの記事を参考にしてみて下さい。

振り飛車(相振り飛車・対居飛車)ー美濃囲い

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振り飛車を指す場合は、相手の戦法に関わらず、とりあえず美濃囲いを指せるようになっておくと安心。美濃囲いは横からの攻めに強く、一度玉を美濃に入れてさえしまえば、大駒交換におびえる心配はありません。対居飛車の場合は美濃一択(もしくは穴熊)、といった感じですが、相振り飛車の場合は金無双や右矢倉など、他にもいくつか有力な選択肢があります。

居飛車(相居飛車)ー矢倉囲い

相居飛車の場合、最初に紹介した横歩取りのような激しい展開を除けば、基本的には矢倉系の形に玉を入れておくのが安心。角換わりの場合は、角の打ち込みに強い平矢倉や、その前の段階(下図)。

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角交換をしない形であれば、金矢倉などがおすすめです。

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居飛車(対振り飛車急戦)ー舟囲い

対振り飛車急戦とは、居飛車側が振り飛車に対して早めの仕掛けをすることです。この場合、囲いはほどほどに早めに攻めていくので、舟囲い(下図)のような簡易的な囲いで済ませることが多いです。

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居飛車(対振り飛車持久戦)ー居飛車穴熊

対振り飛車持久戦は、急戦の反対で、しっかりと玉を囲い、じわじわと攻めていく指し方です。対振り飛車持久戦の場合、一番人気は何といっても穴熊(下図)。

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一度穴熊に組んでから、ゆっくりと2筋~3筋から手を作っていくのがよくある流れです。

このように、将棋には様々な囲いがあります。もちろんすべての囲いを知っておく必要は全くありませんが、もしも興味があれば、こちらの記事で将棋の囲いの一覧を紹介しているので、参考までにぜひご覧ください。

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最後に

今回は、序盤の基本的な指し方や考え方、さらにはいくつかの戦法の基本定跡を紹介してきましたが、実際に序盤力をつけるにはどうすればよいのでしょうか。おすすめは「自分の得意戦法を一つ持つ」ことです。初心者におすすめの戦法についてはこちらで4つ紹介していますが、何もここから選ばなければいけないわけではありません。

【将棋】戦法と攻め方の基本 ー 将棋初心者向けのおすすめ戦法4選(居飛車・振り飛車別)
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例えば、こちらの記事では将棋に存在するほとんどの名の知られた戦法を網羅しています。ここから自分の面白そうだと思ったのを選んでみるのもよいでしょう。

【将棋】主要な戦法・定跡一覧(解説付き・居飛車振り飛車別)
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自分の得意戦法を磨くうえで、対局数を熟す以外におすすめなのが、棋書を読むことです。もうすでに自分の指したい戦法が決まっている場合はその戦法に特化した棋書を読むのがおすすめですし、もしそうでなければ初心者向けにいくつかの戦法をまとめて紹介しているような本を読んでみるのもおすすめ。

将棋・序盤完全ガイド(全三種)

相居飛車編


振り飛車編


相振り飛車編



たとえば、この将棋・序盤完全ガイドは「相居飛車」「振り飛車」「相振り飛車」という大きな括りの中で広く浅く、たくさんの戦法を紹介しています。一つの戦法の勉強に入る前に、こうした棋書で将棋の戦法の基本的な知識を身に着けておくのも有効です。

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