中原囲いは、横歩取りや相掛かり戦で用いられる、バランス型の囲いです。バランス型の囲いとしては中住まいが非常に有名で、実戦では中住まいが採用されることが一般的です。
中原囲いの形は昔からあったものの、長らく脚光を浴びることはありませんでした。しかし、中原誠十六世名人が工夫をこらし、横歩取りの、特に後手番でよく指されるようになりました。
下図が中原囲いの基本の形です。玉を6九に、金を5九に、銀を4八においた形は非常にシンプル。短い手数で完成されられるのに対して、金銀の連携を確保できるのが特徴です。
もっと他の囲いを知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。主要な将棋の囲いを戦型別に紹介しています。
初心者におすすめの囲いについても、こちらの記事で解説しています。
中原囲いの手順
1.相掛かりの序盤(例)
盤面を分かりやすくするために、相掛かりの序盤から始めていきます。
初手から ▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△7二銀(相掛かり基本図)
上図が相掛かりでよくみられる序盤の形です。ここからが、先手の陣形にのみ注目していきます。なお、ここから、5八玉~3八銀などとすれば(下図)、中住まいの形になります。
2.玉・金・銀を動かす
相掛かり基本図から 4八銀ー6九玉ー5九金(中原囲い基本図)
相掛かりの基本図から玉金銀を三回動かせば中原囲いは完成です。
実戦での中原囲い
横歩取り8五飛+中原囲い
2000年代に将棋界で猛威を振るったのは、横歩取り8五飛戦法と中原囲いの組み合わせです。
中原囲いの特徴
中原囲いの長所
手数がかからない
相掛かり・横歩取りの基本の形からたったの3手で完成する囲いです。節約した手数は攻めの陣形の整備に費やすことができます。
中住まいよりも固い
中原囲いのライバルと成り得るのは中住まいですが、中住まいと比較した際の大きなメリットの一つが、その固さです。玉が下段にいることで、相手からの攻めを直に受けづらいこと、5九の金と4八の銀の連携が強力であること、などが理由です
飛車の打ち込みに強い
金が最下段(5九)に位置しており、飛車の打ち込みには比較的強い形です。それでも、飛車の打ち込みが全くないわけではありません。中住まいの形と比較してみると、固さと引き換えに飛車の打ち込みに対しての強さを失ったといった感じ。
中原囲いの短所
中住まいと比べて玉が狭い
中住まいと比較すると、中原囲いのバランスは少し劣ります。右方向への逃げ道が広いのはメリットですが、左方向への逃げ道は限られています。玉の広さも、固さを追求したことにより失われてしまっています。
右銀を攻めに使いづらい
4八の銀が5九の金との連携を活かして、囲いの一部となってしまっている以上、4八の銀を攻めに使っていくのは少し困難です。3六歩から3七桂と跳ねて、桂馬を活かした軽い攻めを仕掛けていくような展開になるでしょう。