中住まいは、横歩取りや相掛かり戦で用いられることの多い、バランス型の囲いです。固さはそれほどではないものの、玉の逃げ道が広く、飛車・角の打ち込みの少なさが特徴です。
中住まいは相居飛車の、特に横歩取りや相掛かり以外で用いられることは基本的にありません。振り飛車党の方はもちろん、居飛車党でも横歩取りや相掛かりを指さない方は覚える必要がありませんし、一生出会わないかもしれない、そんな囲いです。
もっと他の囲いを知りたいという方は、こちらの記事をご覧ください。主要な将棋の囲いを戦型別に紹介しています。
初心者におすすめの囲いについても、こちらの記事で解説しています。
中住まいの手順
中住まいに決まった形は存在せず、玉が5八に上がっており、かつ金銀が8段目や9段目にいれば、どれも立派な中住まいです。今回は、指されることの多い中住まいの代表的な4パターンを紹介します。
(なお、実践では飛車が2八にいないケースが多いので、意図的に省いています)。
中住まい:3八銀型
7六歩 7八金 5八玉 3八銀(3八銀型基本図)
攻め重視の中住まいの形です。3八に銀を置いているため、2八の地点が傷になる反面、3九の地点には隙がありません。将来の2八歩(下図左)などを消す意味でも、3六歩から3七に桂馬を跳ねて使うことが多いです(下図右)。
中住まい:金開き型
7六歩 7八金 5八玉 3八金(金開き型基本図)
駒の打ち込む隙の無い、中住まいの最も基本的な構えです。ただし5筋に玉が孤立しているため、相手の玉頭(5七)への攻めには不安が残ります。
中住まい:4八銀型
7六歩 7八金 5八玉 4八銀 3八金(4八銀型基本図)
3九の銀を4八に上がることで、5筋の攻めに耐性を付けた形です。攻防ともにバランスが良く、おすすめの構え。
中住まい:4八銀ー6八銀型
7六歩 7八金 5八玉 4八銀 3八金 6八銀(4八銀ー6八銀型基本図)
さらに5筋の攻めに備える意味で、7九の銀を6八に上がることもできます。欠点としては、4八銀型で存在した、玉を6八ー7七から逃がしていくルートが塞がれてしまいます。
実戦での中住まい
おそらく最も中住まいの形を目にするのは、横歩取り戦でしょう。横歩取りとは、先手が後手が3四の歩を取る相居飛車の形です。
初手から ▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲3四歩△3三角(下図)
△3三角までがよく知られた定跡の流れ(詳しくはこちらの記事で解説しています)。
△3三角に対して、先手は例えば▲5八玉などとすることができます(下図)。
先手としては激しい戦いの中、玉を固く囲えるような余裕はありません。ですが、居玉のままでは流石に危険、ということで玉を5八に上がり、中住まいの形を作るのです。
中住まいの特徴
中住まいの長所
手数がかからない
中住まいは最短1手(5八玉)で完成する囲いです。手数がかからない分、相手に攻めで後れをとりません。
玉が広い
5八に玉がいる関係上、玉は左右のどちらにも逃げることができます。
飛車の打ち込みがない
中住まいは飛車の打ち込みの隙が無いように作られています。相手に飛車を渡しても大した問題にはなりません。
中住まいの短所
上からの攻めに弱い
中住まいは上からの攻め、とくに玉頭の攻めに弱い形になっています。例えば5七の地点めがけて桂馬や香車で殺到されると、抑えきれません。