【初心者向け】将棋の戦法の選び方ー効率的に強くなるための戦法選びとは?

将棋には、様々な戦法があります。まずは居飛車と振り飛車で2通りに分かれ、居飛車の中でも相居飛車であれば相掛かり、横歩取り、角換わり、矢倉の4つの戦型が、対振り飛車でも舟囲いを使った急戦から穴熊を使う持久戦まで。振り飛車を指すにしても、どの筋に飛車を振るかでまずは何通りか、そして伝統的な角道を止める振り飛車を指すか、それとも角交換を厭わない現代振り飛車を指すかで2通りあります。とにかく、戦法にはいろいろな選択肢があり、将棋を始めたばかりの方が迷ってしまうのも仕方がありません。

まずは居飛車か振り飛車かを決めよう

といっても、まずは居飛車を学ぶか振り飛車を学ぶか、これだけは決めておく必要があります。両者には大きな違いがあり、学ぶ内容が異なってきます。居飛車にするか、振り飛車にするか迷っている方は、『初心者におすすめなのは居飛車?振り飛車?』を参考に、決めてみてください。

【居飛車VS振り飛車】初心者におすすめなのは居飛車?振り飛車?
将棋界にはいくつもの結論の出ていない論争があります。そのうちの一つは、「最初に学ぶ戦法は何か」というものです。戦法という...

両者には違いこそありますが、例え今居飛車から学んだとしても、後から振り飛車を指すことだって、逆に振り飛車から居飛車に転向することだって、簡単にできます(初めてスマホを買う時にAndroidにするかiOSにするか、くらいの違いです)。

ここでは、居飛車を選ぶべき人はどんな人なのか、振り飛車を選ぶべき人はどんな人なのかを軽く紹介します。居飛車と振り飛車の違いなど、詳しい点については先ほどのリンクの記事を参考にしてください。

居飛車を選ぶべき人

居飛車を選ぶべきなのは、①最先端の将棋に興味がある人②勉強量が多いのを厭わない人

第一に、トッププロの間ではやはり振り飛車よりも居飛車のほうが圧倒的に数が多く、定跡が毎日目まぐるしく変わっていっているのも居飛車です。プロの将棋を見て楽しめるようになりたい人や、最終的には最先端の将棋を指せるようになりたい人には、居飛車がおすすめです。

第二に、居飛車は振り飛車よりも基本的には勉強量が多いです。相居飛車であっても横歩取りや矢倉、角換わりなど様々な戦法の定跡を覚えておく必要がありますし、対振り飛車であればこちらから戦型を指定することはできず、相手の飛車を振る位置、角交換の有無などによって、柔軟に指し方を変えていく必要があります。序盤の定跡を覚えることに抵抗のない人は、居飛車が合っているはず。

振り飛車を選ぶべき人

振り飛車を選ぶべきなのは、①主導権を握りたい人②落ち着いた戦いが好きな人です。

第一に、振り飛車は受け主体の戦法と言われますが、実際には戦法選択の点で主導権があります。振り飛車側が3筋(7筋)に飛車を振れば、何があろうと三間飛車の戦いになりますし、もし4筋(6筋)に飛車を振れば、何があろうと四間飛車の戦いになります。中飛車を指したいのであれば、初手▲5六歩とするだけで、中飛車です。相手が何をしてこようとも、自分の戦法を堂々と指すことができるのが振り飛車の強み。様々な戦法に対抗するよりも、自分から戦いを率いていきたい人におすすめなのが、振り飛車です。

第二に、振り飛車は居飛車に比べて落ち着いた戦いになりやすいです。居飛車では相掛かりや横歩取りなどで玉をあまり囲わないような激しい戦いになることがありますが、振り飛車では玉をある程度固く囲ってから戦いが始まります。玉をしっかりと安全地帯に移してから戦いたいという人におすすめです。

賢い戦法選びのコツ(居飛車編)

居飛車は、振り飛車に比べて勉強量が多いです。居飛車党向けの戦法の選び方について、勉強量重視で、紹介していきます。

相居飛車の戦法

相居飛車には4つの戦法(相掛かり・横歩取り・角換わり・矢倉)があります。詳しくは『居飛車党なら知っておきたい!相居飛車四大戦法の定跡と指し方』で解説しているのですが、次の順番で勉強していくのがおすすめです。

①基本の棒銀による攻め方を学ぶ
②相手からの棒銀の受け方を学ぶ
③矢倉棒銀と角換わり棒銀の指し方を学ぶ
④矢倉と角換わりのその他の戦法を学ぶ

①基本の棒銀による攻め方を学ぶ

居飛車を勉強する第一歩は、棒銀を学ぶことです。棒銀とは、飛車と銀を連携して攻める居飛車の最も基本的な指し方です。攻め方がわかりやすいのに攻撃力が非常に強く、初心者が最初に学ぶべき戦法としてはピッタリ。プロ棋士も採用することがあり、長く使い続けることのできる戦法でもあります。棒銀の攻め方については、『棒銀戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説』で解説しています。

【将棋初心者におすすめ】棒銀戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説
将棋の大体のルールを覚えたけどなかなか実戦で勝つことができない...。そんな方にまず覚えてほしいのは「戦法」です。戦法は...

②相手からの棒銀の受け方を学ぶ

棒銀での攻め方を学んだら、次は相手の棒銀の受け方を学びましょう。棒銀は居飛車の超人気戦法の一つですから、自分も棒銀、相手も棒銀、といったことがよく起こりえます。そんな時に、棒銀の正しい受け方をしってさえいれば、すぐに負けてしまうことはありません。棒銀の受け方については『【将棋】絶対に覚えておきたい棒銀の対策定跡【手筋】』で解説しています。

【将棋】もう怖くない!厄介な「棒銀戦法」の対策定跡と基本の受け方を戦法別に徹底解説
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③矢倉棒銀と角換わり棒銀の指し方を学ぶ

棒銀の受け方を学ぶと、棒銀にも限界があることがわかります。しかし、それは棒銀だけで攻めようとしているから。矢倉棒銀や角換わり棒銀など、ほかの戦法や囲いと組み合わせることで、棒銀の弱点を克服することができます。角換わり棒銀については『【徹底解説】角換わり棒銀の基本定跡と攻め方』で解説しています。

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角換わり棒銀は、角換わりの中でも最も基本的な指し方の一つです。攻め方がシンプルで分かりやすく、破壊力があるのが魅力な反面...

④矢倉と角換わりのその他の戦法を学ぶ

棒銀と棒銀のバリエーションによる基本の攻め筋を勉強したら、相居飛車で頻出の矢倉・角換わりの棒銀以外の戦法も少し学んでみましょう。矢倉と角換わりには、棒銀以外にも、たくさんの攻め筋が存在します。詳しくは、こちらの記事で解説しています。

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対振り飛車の戦法

対振り飛車では、大きく分けて玉を簡単に囲ってから攻める急戦、そして玉をガチガチに囲ってから攻める持久戦の二種類があります。人気なのは持久戦ですが、駒組みが複雑で、難易度は高め。最初は伝統的な急戦の定跡から勉強することをおすすめします。

①急戦を学ぶ

居飛車の対振り急戦には、振り飛車に対する基本の攻め筋が満載です。急戦で有名なのは、「4五歩早仕掛け」や「4六銀左急戦」など。詳しくはこちらの記事で解説しています。

【四間飛車対策】4五歩早仕掛けの基本定跡と指し方
4五歩早仕掛けは、居飛車からのノーマル四間飛車に対しての急戦有力策の一つです。4五の歩をこじ開けて角交換を挑み、2筋を突...
【四間飛車対策】斜め棒銀戦法(4六銀左急戦)の基本定跡と指し方
角交換系の振り飛車の台頭にも関わらず、アマチュア間で強い人気を誇る四間飛車戦法。居飛車側からもたくさんの対抗策が考えられ...

②現代振り飛車対策を学ぶ

石田流・ゴキゲン中飛車などの角交換を厭わないタイプの現代振り飛車に対しては、こういった急戦作戦はあまりうまくいかないことも多いです。それぞれの戦法に対する個別の対策が研究されてはいるのですが、最初は現代振り飛車相手にも対四間飛車の急戦をそのまま指してみることをおすすめします。もしそれらがうまくいかなければ、その時は現代振り飛車対策の居飛車の作戦を採用すればOK。石田流とゴキゲン中飛車の対策については、こちらの記事で紹介しています。

>>石田流の対策

>>ゴキゲン中飛車の対策

個人的な戦法のおすすめには、ゴキゲン中飛車に対しては一番人気の「超速」または落ち着いた戦いにしやすく、他の戦法にも応用できる「丸山ワクチン」。石田流に対しては、そもそも2手目で8四歩とし、石田流に指せないのがおすすめです(石田流は▲7六歩△3四歩▲7五歩の展開でないとうまくいきません)。大抵は8四歩としても無理やり石田流に振ってきて乱戦模様になるのですが、その場合の変化をしっかりと覚えておけば、怖くありません。

賢い戦法選びのコツ(振り飛車編)

振り飛車の戦法選びは、完全に好みだと思っています。振り飛車の戦法を、角交換するもの、しないもの、そして振る位置で分類してみると下表のようになります。

ノーマル(角交換なし)
現代(角交換OK)
2筋 ノーマル向かい飛車
ダイレクト向かい飛車
3筋 ノーマル三間飛車 石田流
4筋 ノーマル四間飛車 角交換四間飛車
5筋 ノーマル中飛車 ゴキゲン中飛車

落ち着いた戦いが好きなのであれば、伝統的なノーマル振り飛車を指すのが良いでしょう。ノーマル振り飛車の中から選ぶのであれば、断然四間飛車がおすすめ。ノーマル振り飛車の中では最も一般的な作戦で、初心者向けの棋書も多く発売されています。勉強のしやすさでいえばトップクラスの戦型です。

>>四間飛車の指し方

激しい戦いを好むのであれば、角交換を厭わない現代振り飛車を勉強してみましょう。おすすめは先手番で石田流、後手番でゴキゲン中飛車を勉強すること。どちらも先手番、後手番専用の戦法です。石田流には少し奇襲要素の混じった早石田という指し方もあり、勝ちやすさでいえばピカイチです。ただし、振り飛車で最初に学ぶ戦法となれば四間飛車が一般的なため、初心者向けの棋書は四間飛車ほど充実はしていない点に注意。

まとめ:将棋の戦法の選び方のコツ

以上のことを踏まえたうえで、将棋の戦法の選び方のコツをまとめていきます。

勉強量

まず第一に、特に居飛車党になるのであれば、勉強量は意識しておきたいポイントです。居飛車党の勉強量は増やそうと思えばいくらでも増えます。ただし、減らそうと思えば何とか減らすこともできます。

勉強量を減らすためには、「この戦法にはこれ!」と自分の中で特定の戦法に対して指す戦法を決めておくということです。逆に言えば、「この戦法は指さない!」というものを決めておくということでもあります。この「指す」「指さない」は序盤の最初の1・2手で決まってしまうことも。最序盤の指し手の選択が非常に重要になってきます。

人気

戦法を選ぶうえで、戦法の人気は意識してもよいポイントです。これは決して「はやりに乗りたい」などといったことだけではありません。人気の戦法からスタートしたほうが、初心者向けの本も充実していますし、何かわからないことがあったときに質問もしやすいでしょう(ただし、下表の横歩取り3三角などは人気ですが難しく、あまりおすすめはしません)。

参考:人気の居飛車の戦法(体感)

相居飛車
角換わり腰掛け銀・早繰り銀
横歩取り3三角戦法
対振り飛車
居飛車穴熊(対ノーマル振り飛車)
超速3七銀戦法(対ゴキゲン中飛車)
左美濃戦法(対石田流・角交換四間飛車など)

参考:人気の振り飛車の戦法(体感)

ノーマル振り飛車 四間飛車
現代振り飛車 石田流
ゴキゲン中飛車
角交換四間飛車

応用性

どんな戦型にも応用できる戦法というのは、やはり便利です。例えば多くの振り飛車の戦法は、相手がどんな戦法を選んでも自分の指したい戦法を指すことができます。例えば四間飛車を指す場合は、相手がどんな戦法でも四間飛車にすることができます。これは振り飛車の戦法を勉強する一つのメリットです。

居飛車の場合は相手の指す戦法をひとつひとつ対策していく必要があるので、そう簡単にはいきません。しかし、それでも、棒銀戦法や右四間飛車戦法などは、ほとんどの戦法に(相手が居飛車でも振り飛車でも)応用が利く戦法です。

好み

ここまでは勉強量や必要性など、やや実用的な部分にフォーカスしてきましたが、最終的にどの戦法を選ぶのかを決めるのは自分の好み次第です。「好きなプロ棋士が指しているから」などの理由でも構わないと思います。逆に、勉強量が少ないからと言って、あまり自分の好きでない戦法を勉強しても身にならないはず。

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公開日:2022年7月2日