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【将棋】覚えておきたい!矢倉戦法の基本定跡と指し方を徹底解説

矢倉

矢倉は、囲いの名前でありながら、相居飛車を代表する戦法の一つ。お互いがしっかりと玉を囲い合う「相矢倉」が特に知られています。矢倉囲い(金矢倉)や、その過程で登場するカニ囲い、またその派生形の兜矢倉やへこみ矢倉については、こちらの『矢倉囲い(カニ囲い・金矢倉)の基本の組み方の手順と指しまわしのコツ』で種類や組み方を解説しています。

【将棋】矢倉囲い(カニ囲い・金矢倉)の基本の組み方の手順と指しまわしのコツ
矢倉囲いは、将棋の最も基本的な囲いの一つです。それと同時に、矢倉は、囲いの一部というよりも「矢倉戦法」という名前が存在する通り、完全に戦法とセットになっています。ですから、囲いの組み方は相手にも依存していますし、長い歴史のある戦法ですのでそ...

今回紹介する矢倉、そして人気の相掛かり・横歩取り・角換わりをまとめて「相居飛車四大戦型」と呼ばれます。相居飛車四大戦型については、『居飛車党なら知っておきたい!相居飛車四大戦法の定跡と指し方』で詳しく紹介しています。

【将棋】居飛車党なら知っておきたい!相居飛車四大戦法の定跡と指し方【初心者向け】
相居飛車とは、先手と後手どちらも居飛車(飛車を2八に置いたまま戦う戦法)の戦型のこと。相居飛車の戦法は「相掛かり」「横歩取り」「角換わり」「矢倉」という4つの戦法に大きく分類されます。 相居飛車の四大戦法 相掛かり 相掛かりは相居飛車...

矢倉は、比較的激しい戦いになりやすい横歩取りや相掛かりとは異なり、基本的には落ちついた流れになりやすい戦法。初級者から有段者まで、愛好者の多く、万人におすすめです。

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相矢倉の定跡

矢倉戦法の中でも、相矢倉はお互いががっちりと金矢倉に組み合う指し方。特に序盤の24手は定跡化されていて、その手数から「24手組」と呼ばれます。実際には24手組にもいくつか種類があるのですが、今回はそのうちの最もスタンダードなものを紹介します。

矢倉24手組の指し方

初手から ▲7六歩△8四歩(下図)

矢倉の初手は必ず▲7六歩。それに対して、後手が△3四歩ではなく▲8四歩であったときに、先手は矢倉を選択することができます。矢倉は角道を止めて戦う戦法なので、相手の角道も閉じてあった方が都合がよいのです。

上図から ▲6八銀△3四歩▲6六歩(下図)

銀は6八に上がり、角道を開けてくる手に対しては▲6六歩と角道を閉じます。ここでは▲7七銀とする手もあるので、後述します。3手目の▲6八銀が、矢倉を組むうえで大事な一手。8筋は銀を7七にあがって受けられるようにしています。

上図から △6二銀▲5六歩△5四歩▲4八銀△4二銀▲5八金右△3二金▲7八金△4一玉▲6九玉(下図)

少し飛ばしてしまいましたが、先手も後手も、カニ囲いと呼ばれる囲い(6九の玉のうえに並んだ3枚の金銀)を完成させます。カニ囲いそのものはあまり固い囲いではないので、この囲いを経由しつつ、最終的には金矢倉に組んでいくことを目指します。ただし、後手からはカニ囲いのまますぐに戦いを起こしてくる指し方もあり、後述します。

上図から △7四歩▲6七金右△5二金▲7七銀(下図)

金は6七に形よく上がり、また6八の銀も7七に上がり、矢倉の骨組みをつくります。

上図から △3三銀▲7九角△3一角▲3六歩△4四歩(24手組完成図)

最終的に金矢倉の形を作るために、玉は8八に入城する必要があります。▲7九角と角を引くのはその準備。後手も同様に角を引き、▲3六歩に△4四歩と突いた上図が、24手組と呼ばれる有名な定跡の完成図です。ここから、先手は▲3七銀から攻撃的に指していく指し方と、▲6八角から囲いを完成させていく指し方の2通りがあります。

3七銀戦法

24手組完成図から ▲3七銀△6四角(下図)

24手組完成図から先手は▲3七銀と上がります。▲3七銀には△6四角がセットの一手。でないと、▲3五歩△同歩▲同角と、歩交換を果たされてしまいます。

下図から ▲6八角△4三金右▲7九玉△3一玉▲8八玉△2二玉▲4六銀△5三銀▲3七桂(下図)

△6四角に対して、▲6五歩としたくなりますが、実際にはこの歩がかえって狙われるようになってしまいます。先手は▲6八角・▲7九玉・▲8八玉と、金矢倉を完成させます。▲4六銀・▲3七桂とすれば、3七銀戦法のなかでも人気の▲4六銀・▲3七桂型の完成です。以下、飛車を5筋に回って攻めていく手順があります。

脇システム

24手組完成図から ▲3七銀△6四角(下図)

上図で、▲6八角ではなく▲4六角と角をぶつける指し方は、「脇システム」として知られています。お互いにいつでも角が取れるようになり、より激しい戦いになることが予想されます。

森下システム

24手組完成図から ▲6八角(基本図)

少し高度な指し方ですが、▲6八角と先に囲いを完成させる手順も知られています。あえて攻めの陣形を作らず、相手の形を見てから判断しようという考え方です。

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急戦矢倉の定跡

ここまで紹介したきたように、先手と後手がお互いにがっちりと矢倉に組み合う相矢倉の将棋は、先手が攻め、後手が受けるという展開になることが多く、後手番での勝率があまり奮いませんでした。そこで、「先手が矢倉を組み上げる前に崩してしまおう」という考え方が登場します。こういった激しい指し方のことを「急戦矢倉」と呼びます。

棒銀

初手から ▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△8五歩▲7七銀△7二銀▲7八金△8三銀▲5六歩△8四銀▲7九角(下図)

銀を一直線に8筋に進めていく指し方を、飛車と銀が並んだ棒のように見えることから、「棒銀」と呼びます。中でも、上図のような超急戦棒銀は仕掛けも早く、要注意。次に△9五銀から△8六歩とされると、矢倉苦戦します。

上図から △9五銀▲6八角(下図)

△9五銀に▲6八角と上がって、8筋を受けます。それでも次に△8六歩から、7七の銀がどけば△6六角を狙いに攻めてくる筋があり、受けきるのは大変ではありません。棒銀は将棋の基本中の基本の戦法です。棒銀の定跡については『棒銀戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説』で、棒銀の受け方・対策定跡については『絶対に覚えておきたい棒銀の対策定跡』で解説しています。

右四間飛車

初手から ▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△6二銀▲5六歩△6四歩▲4八銀△6三銀▲5八金右△5四銀▲7八金△6二飛(下図)

右四間飛車も、矢倉破りで有力な急戦策です。△6五歩や、△7四歩~△7三桂~△6五歩など、様々な攻め筋が考えられます。6五の地点を飛車・銀・桂で連携して攻めてくるので非常に受けづらいかと思います(角交換を狙われる怖さもあります)。右四間飛車については、『右四間飛車戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説』で詳しく定跡を解説しています。

【将棋初心者におすすめ】右四間飛車戦法の基本定跡と覚えておきたい攻め方を徹底解説
将棋のルールを覚えて、少し実践を積んできた人が次にチャレンジしてほしいのは「戦法を覚えること」です。戦法とは将棋の攻め方のようなもので、実にさまざまな種類があります。 初心者におすすめの戦法はいくつかありますが、右四間飛車はそんな戦法...

米長流急戦矢倉

初手から ▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△6二銀▲5六歩△5四歩▲4八銀△4二銀▲5八金右△3二金▲7八金△4一玉▲6九玉△7四歩▲6七金右△5二金▲7七銀(下図)

上図は、相矢倉の24手組の途中の局面図。先ほどはここから△3三銀と相矢倉を目指す指し方を見ていきましたが、角道を開けたまま速攻を目指す指し方も有力です。

上図から △8五歩▲2六歩△6四歩▲2五歩△7三桂(下図)

△3三銀の代わりに△8五歩と突き、△6四歩から△7三桂と桂馬を跳ねます。△6五歩からの一気の仕掛けが狙いです。右四間飛車と同様、角の利きや6五の地点への殺到があり、気を付けておきたい指し方です。

5三銀右急戦

初手から ▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△6二銀▲5六歩△5四歩▲4八銀△4二銀▲5八金右△3二金▲7八金△4一玉▲6九玉△7四歩▲6七金右△5三銀右(下図)

こちらも相矢倉の序盤から、6二に上がった銀をさらに5三に上がる指し方が考えられます。△5五歩▲同歩△同角から△5四銀と上がり、中央から仕掛けていく手順を狙いにしています。

矢倉左美濃急戦

初手からの指し手 ▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△6二銀▲5六歩△3二銀▲4八銀△4二玉▲7八金△6四歩▲5八金△6三銀▲2六歩△3一玉▲2五歩△5二金右(下図)

矢倉左美濃は、左美濃という名前の通り、先手の矢倉に対して矢倉やカニ囲いではなく、左美濃で対抗しようという作戦です。ソフト研究によって生み出された、比較的新しい指し方です。

左美濃は横からの攻めにより強く、その他の急戦矢倉の弱点であった囲いの脆さをカバーしています。▲2五歩に対しては△3三銀や△3三角などとして、歩交換を防ぐのが普通ですが、矢倉左美濃の特徴は角を2二に置いたままにすること。ですので、2筋を受けることはありません。

上図から ▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛(下図)

2筋の歩交換に対しては、歩で追い返しておきます。先手は歩得を果たしますが、後手としては先手が2筋交換に費やした分の手得を主張していきます。

上図から △7四歩▲6七金右△7三桂▲6九玉(基本図)

上図から、後手はさっそく△6五歩と仕掛けていくことができます。矢倉左美濃は現在非常に人気抜群で、矢倉破りにおすすめの指し方。詳しくは『矢倉(居角)左美濃急戦の序盤定跡と基本の指し方を徹底解説』で紹介しています。

【矢倉対策】矢倉(居角)左美濃急戦の序盤定跡と基本の指し方を徹底解説
矢倉左美濃急戦は、近年のソフト研究によりプロ間・アマ間問わず人気になった、矢倉破りの急戦作戦です。下図(後手)のように、角を2二に置いたまま戦うことから、居角左美濃急戦、または単に左美濃急戦などと呼ばれます。 矢倉左美濃急戦は...
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変化する先手番矢倉

ここまで紹介してきた急戦矢倉は、先手番矢倉にとって強敵です。そんな急戦矢倉を破るべく、先手番矢倉にはいくつかの改良が施されています。

7七銀型

初手から ▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀(下図)

▲6六歩と突くと、相手が右四間飛車や矢倉左美濃の時に、かえって狙われてしまう展開になりました。それを防ぐために▲6六歩ではなく▲7七銀と上がるのが人気です。▲6六歩さえつかなければ、右四間飛車で猛攻されることはありません。

2五歩

今回紹介した24手組は飛車先不突矢倉と呼ばれ、飛車先を突く一手を省略する代わりに陣形の整備に手数をかける指し方です。しかし、2筋の歩がついていない分、急戦矢倉に対して受け一方になってしまうというきらいがありました。

そこで、矢倉左美濃急戦に対する指し方でもみたように、序盤の早い段階から▲2六歩~▲2五歩と、歩を突き越していく指し方が人気です。

上図では、先ほどは▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛とおとなしく飛車を引きましたが、▲2八飛に代えて▲3四飛と、激しく横歩を取っていくような指し方も考えられます。ただ防戦一方にするのではなく、積極的に反撃していこう、という考え方です。

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最後に

矢倉は、歴史の深い相居飛車を代表する戦型です。定跡は複雑で難しめですが、矢倉を指しこなすことができれば本格居飛車党、といった感じがします。後手番での急戦作戦が次々と生み出され、苦労の多い先手番矢倉ではありますが、初心者の方が将棋の基本的な攻め方・守り方・玉の囲い方を身に着ける上でも、学びの多い戦法です。

矢倉の棋書は多く出版されていますが、矢倉をゼロから一手一手学んでいきたいのであれば、「矢倉の基本~駒組みと考え方~」がおすすめです。

西尾明先生の著書で、伝統的な形から現代風の形まで、余すことなく学べます。

 

 

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公開日:2022年3月26日