自分の受けの力が試されるのは、自陣が攻められているときでしょう。相手からの猛攻を受けることができずにいつも潰れてしまう、よくあるケースです。そもそも受けることが間違っていることだってありえます。既に受けのきかない状態で受けに回ってしまったせいで将棋を負けにする、攻め合っていればまだ頑張れたのに、などでしょうか。
こういった様々な意思決定も含めて、「受け」の力を身に着けていくためのおすすめの勉強法について、初心者~級位者の方、初段を目指している方向けに、解説していきます。
なぜ「受け」は難しいのか
受けは数ある将棋の技術の中でも難しい部類に入ると思います。読みがしっかりできていることは当たり前ですが、ずっと受けているだけでは勝てないので「受けるか攻めるか」の判断をする必要がありますし、相手のミスを誘うテクニックも求められます。
・相手の指し手を読みぬけの内容に読まなければならない
・ずっと受け続けているわけにはいかないことも(反撃のタイミングを考えたり、相手のミスを誘ったりも必要になる)
個人的にも、将棋が強い人は中終盤での受けの力が凄まじい人という印象があります。今回は、受けの力を磨くおすすめの方法5つを取り組みやすさを★で示しつつ紹介していきます。
受けの力を磨くおすすめの勉強法
詰将棋を逆さに解いてみる
一番手軽にできる受けを磨く練習が、詰将棋を逆さに解いてみることです。いわば基礎力トレーニングといったところでしょうか。
「逆さに解く」というのはつまり、詰まされる側を持って、詰ます側の指し手を持つということです。これはかなり有名なやり方で既に実践されている方も多いと思いますが、反対向きだと駒の動きがうまく読めないなんてことや、あまり手が見えないなんてこともあると思います。
「受け」はそもそも相手の手が見えていないとどうしようもないわけで、これは受けの力の基礎を付けるのに良いやり方です。詰将棋の本を一冊持っていればすぐに取り組むことができます。詰将棋の本は5手詰であれば、浦野先生の詰将棋ハンドブック、または高橋先生の5手詰将棋がおすすめ(5手詰将棋はKindle版あり)。
5手詰程度の長さのものを繰り返せば問題ないとは思いますが、その他の詰将棋の本を探したいという方は『おすすめの詰将棋本11選(初心者・級位者・有段者向け)のまとめ』を参考にしてみてください。
逃れ将棋を解く
詰将棋を逆さに解く練習をもう少し本格的にしたものとして、「逃れ将棋」という棋書のシリーズがあります。名前の通り趣旨は詰将棋の真逆。自玉に王手が掛けられている状態から、頓死しないように正しく逃げる練習ができます。詰将棋と同様「見落としなく手を読む」ことに焦点を当てたトレーニングだといえます。
棋譜並べ
こちらも王道。「受け」というのはただ相手の攻めを受け続けているわけではありません。プロ棋士の受けは「反撃」が含みに入っています。本当にその局面は受けて勝つべきなのか、それとも攻め合いを目指すべきなのか、といった感覚は読みの力や実戦で養われるものも多いとは思いますが、手っ取り早く身けやすいのはやはり棋譜並べだと思います。受けの力を鍛えるために並べる棋譜集としては、米長vs大山の棋譜集↓が手厚い一着が満載でおすすめです。
その他のおすすめの自戦記や棋譜集については、『個人的におすすめな「自戦記」「棋譜集」まとめ』でまとめて紹介しています。
ただし、このような棋譜集を買う際には基本的にはKindle版がおすすめ。棋譜集は非常にボリュームが大きく、重さもかなりします。紙の本はスペースもとってしまいますし、持ち運びもできません。なお、Kindle版を購入するのであれば、Kindle Unlimitedという読み放題サービスがお得でおすすめ。
また、棋譜並べに関して、盤駒を用意して1手1手並べていくのにはかなりの労力がいります。効果も絶大ですが、あまり時間が取れないという人も多いはず。そんな方には日本将棋連盟の棋譜中継アプリがおすすめ。月額料金がかかりますが、プロの先生方の詳しい解説もついているので割に合うのではないでしょうか。
将棋連盟ライブ中継
Japan Shogi Association無料posted withアプリーチ
ソフト対局
パソコンにソフトを入れていない場合は準備が必要になりますが、「実践から学べる」という意味でおすすめなのがソフト対局です。
「ソフトの攻めを受ける練習+検討」というのももちろんありですが、それ以上におすすめなのが「ソフトに攻めまくって受け止められる・反撃される練習+検討」です。ソフト程のレベルの相手と制限なく対局するというのは対人ではなかなか難しいですし、ソフトの的確な受け方や反撃の仕方をそのまま真似していけばよいわけです。
将棋ソフトについては、フリーソフトであればShogi GUIや将棋所で動かすことのできる水匠5など、市販ソフトであればマイナビの発売する激指シリーズがおすすめです。おすすめの将棋ソフトについて、詳しくは『おすすめの将棋検討ソフトを徹底比較!市販ソフトとフリーソフトは何が違う?』で解説しています。
受けの手筋の集中習得(手筋本を解く)
序中盤の受けの手筋を磨くためには、今まで紹介してきたような棋譜並べやソフト対局がおすすめです。終盤での受けの技術を身に着けるために詰将棋や逃れ将棋と共に意識してほしいのが「囲いの受けの手筋」の習得です。
こちらは意外と見落としがちな部分です。囲い崩しや寄せといった「攻め」の終盤力はよく言われることなんですが、囲いの受けの手筋といった「受け」の終盤力はあまり触れられることの少ない分野です。
囲いの受けの手筋を覚えるうえでおすすめなのはの「○○囲いを極める77の手筋」シリーズと、及川先生の「将棋・囲いの守り方」です。
77の手筋シリーズは現段階では美濃、矢倉、穴熊の3種類の囲いしか取り上げていないのですが、その分一つの囲いに絞って「狭く深く」受けの手筋を紹介しています。
将棋・囲いの守り方は多くの囲いの受けの手筋を「広く浅く」解説しています。どちらも級位者~初段前後までが対象だと思いますが、有段者の方が読んでも全然勉強になる本です
まとめ
今回は、受けの力を鍛えるための勉強法として、以下の3つを紹介していきました。
・逃れ将棋を解く
・棋譜並べ
・ソフト対局
・受けの手筋の集中習得(手筋本を解いてみる)