【将棋】絶対に覚えておきたい!相掛かり戦法の序盤定跡と指し方を徹底解説

相掛かりは、お互いが飛車先を突き合って始まる相居飛車の四大戦型の一つ。お互いが初手に2六歩・8四歩と息を合わせないといけないので、実践で指せるチャンスは少ないかもしれませんが、相居飛車を代表する戦型として覚えておきたいところです。

相居飛車の戦型としては、他には横歩取り・角換わり・矢倉が知られています。相居飛車の四大戦型については『居飛車党なら知っておきたい!相居飛車四大戦法の定跡と指し方』で詳しく解説しています。

【将棋】居飛車党なら知っておきたい!相居飛車四大戦法の定跡と指し方【初心者向け】
相居飛車とは、先手と後手どちらも居飛車(飛車を2八に置いたまま戦う戦法)の戦型のこと。相居飛車の戦法は「相掛かり」「横歩...

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相掛かりの序盤

相掛かりの序盤は至ってシンプル。お互いが飛車先の歩を突き合うことで始まります。

初手からの指し手 ▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩(分岐図1)

実は上図は一つの分岐点。正しい定跡は▲7八金△3二金とお互いに角頭を守り合う手順ですが、▲2四歩と先に攻撃してしまおうと考えた方もいるのではないでしょうか。しかし、これは大きな罠。▲2四歩は成立しないことが知られています。

五手爆弾

上図から ▲2四歩△同歩▲同飛(下図)

さっそく先手が▲2四歩から仕掛けていった場面です。2三の地点には守り駒がなにもなく、次に▲三歩とすれば角をタダ取りできます。一見先手成功ですが、実際には後手からのカウンターを受けることになります。

上図から △8六歩▲同歩△8七歩(下図)

後手から同様に飛車先の歩を突いたあとに、取った歩を利用して8七に打つのが後手の正しい手順。不思議なことに、後手の方が一手早く先手の角を取ることができます。もう一つ注目したいのが両者の飛車の位置。先手の飛車が浮いているのに対して、後手の飛車は2段目にいるので、しっかりと角に紐をつけています。

上図から ▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角(下図)

先手も2三歩と当然角を取りに行きますが、△3五角と打って後手優勢。飛車が逃げれば△5七角成があります。先手がどこかのタイミングで▲2二歩成としても、△同飛と取れるのも後手の強みです。

正しい手順

分岐図1からの指し手 ▲7八金△3二金(下図)

ということで、正しい手順はお互いにしっかりと金を上がって角頭を受ける手順です。△3二金に対して、先手は飛車先の歩を交換します。

上図から ▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩(分岐図2)

飛車先の歩を交換することで、先手は一歩を手にしました。△2三歩に対しては先手の応手が分かれます。今回は、2六飛車と六段目に引く手と、2八飛車と低く引く手の両方を見ていきます。

2六飛車型

分岐図2からの指し手 ▲2六飛(下図)

歩打ちに対して飛車を6段目に構えるのが、2六飛車型です。浮き飛車により、後手が歩交換をするのを防いでいるというメリットがありますが、飛車の位置がやや不安定で、狙われやすいのが弱点です。

上図から △7二銀▲3八銀(下図)

先手は3八銀と上がって銀の活用を目指します。腰掛け銀風に、中央に使っていくこともできますし、早繰り銀風に3筋から使っていくこともできます(両方後述します)。

上図から △6四歩▲7六歩△8六歩▲同歩△同飛(2六飛車型基本図)

先手はどこかのタイミングで▲7六歩と角を活用すべく角道を開けることになりますが、その瞬間に後手は飛車先の歩交換をしてきます(7六の歩が2六の飛車の横利きを止めるため)。△8六歩▲同歩△同飛の後の展開として、主に3パターン考えられます。

3七銀戦法(中原流相掛かり)

2六飛車型基本図以下 ▲8七歩△8二飛▲3六歩△3四歩▲5八玉(下図)

▲8七歩と飛車をしっかりと追い返した後に3六の歩を突きます。△3四歩に対しては▲5八玉とあがり、王手飛車のラインを消します。

上図以下 △6三銀▲3七銀(下図)

腰掛け銀の形に構えてくる後手に対して、先手は3六歩から3七銀と、早繰り銀の形を作ります。次は▲3五歩△同歩▲同銀と、3筋から2筋方面を攻めていく展開が考えられます。

腰掛け銀

早繰り銀があればもちろん腰掛け銀も存在します。▲3六歩に代えて▲4六歩から銀を4七~5六にあがっていけば、腰掛け銀の形になります。

2六飛車型基本図以下 ▲8七歩△8二飛▲4六歩△3四歩▲4七銀△6三銀▲5六銀△5四銀(下図)

上図からは「ガッチャン銀」と呼ばれる仕掛けがあり、桂馬を跳ねて、玉を6八に動かしてから▲3五歩△同歩▲4五銀と銀をぶつけます。

以下△4五同銀▲同桂で先手の攻めが順調です。

ひねり飛車戦法

▲8七歩に代えて▲9六歩と端歩を突けば、ひねり飛車という面白い指し方をすることもできます。▲9六歩は△8七歩に▲9七角を用意した一手。この手を活かして先手は▲7七桂と桂馬を跳ねます。

2六飛車型基本図以下 ▲9六歩△9四歩▲7七桂(下図)

上図から △8二飛▲7五歩△4二銀▲4八玉△4一玉▲8五歩△6三銀▲7六飛(下図)

上図のようになれば、将棋の理想形「石田流」の形が完成します。石田流は本来振り飛車の戦法ですが、相掛かりの序盤から飛車を大きく旋回することで、最終的に石田流の形に組み上げることができます。先手はここから振り飛車のような戦い方をするため、囲いも美濃囲いとなります。

2八飛車型

2六飛車に代えて、2八飛車と深く飛車を引く手も有力です。2六飛車の浮き飛車に比べて、より飛車の位置が安定しているというメリットがあります。2六飛車型よりも人気で勝率も高く、おすすめの指し方です。

分岐図2からの指し手 ▲2八飛(下図)

上図から △8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛(2八飛車型基本図)

ただし、飛車を引く場合は相手に歩交換を許してしまいます。歩交換後に後手が飛車を8四に引いて上図。今回は、相掛かり棒銀(またはUFO銀)と呼ばれる指し方を紹介していきます。

相掛かり棒銀/UFO銀戦法

2八飛車型基本図から ▲3八銀△3四歩▲2七銀△7二銀▲3六銀(下図)

上図からは、▲2五銀と進出し、棒銀の数の攻めの要領で2筋突破を目指します。普通の棒銀と異なり、3六に銀をあがります。単純に2筋だけを狙うのではなく、銀をより中央に使っていくことで、相手の駒組みを制限していくことが狙い。最終的に腰掛け銀の形に組み替えることも可能です。急戦棒銀とは異なり、飛車の横利きが強力ですぐに速攻というわけにはいきません。お互いに軽く玉を囲い合う展開になります。

最後に

相掛かりは難しい変化も多く、決して簡単な戦型はありません。しかし、近年は新たな研究も進んでいて、人気に火のついている戦型でもあります。特に藤井竜王は相掛かり、特に先手番での相掛かりを得意戦法としています。

相掛かりを指しこなしたいのであれば、「よくわかる相掛かり」がおすすめ。相掛かりで最低限抑えておくべきポイントと戦型を分かりやすくまとめています。

また、ソフト研究によって生まれた最新の相掛かりを勉強したいのであれば、同じく中座真先生の「相掛かりの新常識」がおすすめ。よくわかる相掛かりの6年後に出版された本書ですが、最新の相掛かりのポイントをこちらも非常に分かりやすく紹介しています。

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相掛かり
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日々頓死
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公開日:2022年3月25日