藤井竜王の活躍で盛り上がっている将棋界。ニューや新聞で取り上げられる回数もどんどん増してきています。そんな中、ニュースや新聞で一度は目にしたことのあるであろう言葉「タイトル」についてまとめてみました。
将棋の「タイトル」とは?
そもそも「タイトル」とは何なのかについてまずは説明をしていきます。主にプロ棋士は将棋界にある様々な棋戦で戦うことによってスポンサーから賞金などをもらい、生計を立てています。竜王戦なら読売新聞、NHK杯ならNHKからですね。
15の棋戦のうち8つの棋戦が「タイトル戦」とされ、これらのタイトル戦のいずれかで頂点に立つと、そのタイトルを獲得し、名乗ることができます。
タイトル獲得は、全てのプロ棋士が目指す目標です。ちなみにタイトル獲得数ランキング1位の羽生善治九段は、今まで99回タイトルを獲得しています。
タイトルの名乗り方
タイトル在位中は「九段」「八段」といった段位ではなく「名人」「竜王」といったタイトルを直接名乗ります。
タイトルを2つ以上取った場合は「二冠」「三冠」のような形になります(※例外があるので後に詳しく説明します)。タイトルの数に応じて〇冠というように呼びます。
タイトル戦は基本的に保持者VS挑戦者の形で対局をします。タイトル戦の予選から挑戦者に勝ち上がった人は現在のタイトル保持者とタイトル戦の対局をする権利を得ます。定められた回数(五番勝負、もしくは七番勝負)対局をし、見事勝ち越すことができた場合は晴れてタイトル獲得となります。タイトル戦は現役プロ棋士のほかアマチュアの将棋ファンの注目が集まる将棋界の大イベントです。
タイトル戦は全部で8つ
現在タイトル戦となっているのは「竜王戦」「名人戦」「叡王戦」「王位戦」「王座戦」「棋王戦」「王将戦」「棋聖戦」の8つです。うち叡王戦は2017年にタイトル戦へ昇格した最も新しいタイトル戦です。8大タイトルのタイトル戦、予選それぞれの仕組みと主催は以下の表の通りです。
日数 | 番勝負・持ち時間 | 主催 | |
竜王戦 | 1日制 | 七番勝負・8時間 | 読売新聞 |
名人戦 | 2日制 | 七番勝負・9時間 |
朝日新聞・毎日新聞
|
王位戦 | 2日制 | 七番勝負・8時間 |
ブロック紙3社連合
|
王座戦 | 1日制 | 五番勝負・5時間 | 日本経済新聞 |
棋王戦 | 1日制 | 五番勝負・4時間 | 共同通信 |
叡王戦 | 1日制 | 五番勝負・4時間 | 不二家 |
王将戦 | 2日制 | 七番勝負・8時間 |
スポニチ・毎日新聞
|
棋聖戦 | 1日制 | 五番勝負・4時間 | 産経新聞 |
現在のタイトル保持者
竜王 | 藤井聡太 |
名人 | 渡辺明 |
王位 | 藤井聡太 |
王座 | 永瀬拓矢 |
棋王 | 渡辺明 |
叡王 | 藤井聡太 |
王将 | 藤井聡太 |
棋聖 | 藤井聡太 |
タイトル戦の序列
各タイトル戦の序列は、獲得賞金の額で決められています。竜王戦の賞金額はなんと4400万円で、最高額。獲得賞金トップの竜王戦の一番序列が高く、後ろに行くほど序列が低くなっていきます(竜王戦以外の賞金額は非公開)。竜王戦と並んで権威があるのは名人位のタイトル。賞金額では竜王戦に劣りますが、竜王戦以上の歴史があります。序列一番は竜王なのか、名人なのかは議論のあるところでもあります。
序列 | タイトル |
1 | 竜王 |
2 | 名人 |
3 | 王位 |
4 | 王座 |
5 | 棋王 |
6 | 叡王 |
7 | 王将 |
8 | 棋聖 |
先程※印をつけた部分ですが、竜王もしくは名人の在位者は他のタイトルを獲得していたとしても二冠、三冠とは呼ばずに「竜王(棋聖)」「名人(棋王)」「竜王・名人」のような形にするのが普通です。こちらも竜王戦と名人戦が最高位の序列とされているのに関係しています。
タイトル戦のスケジュール
タイトル戦は、年中行われています。1年の初めには王将戦があり、12月には竜王戦があります。
永世称号について
定められた回数、そのタイトルを防衛すると「永世称号」が与えられます。永世称号は基本的には引退後に名乗るものですので、永世称号を引退後に名乗る権利を得るということですね。
永世称号は各タイトルの最初に永世がついた形、竜王の永世称号は「永世竜王」、棋聖の永世称号は「永世棋聖」となります。ちなみに王座戦のみ特殊で永世王座とは呼ばずに「名誉王座」と呼びます。永世称号獲得の基準は各タイトルで違います。基準は以下の通りです。
・永世名人:通算5期
・永世王位:連続5期 または 通算10期
・名誉王座:連続5期 または 通算10期
・永世棋王:連続5期
・永世王将:通算10期
・永世棋聖:通算5期
見ての通り、かなり大変な内容です。タイトル一つ獲得するのも難しいなか、羽生先生が7つのタイトル全てで永世称号を取ってしまったのはさすがとしか言いようがありません。なお、一番新しいタイトル戦である叡王戦の永世称号条件はまだ決まっていません。
現在の永世称号資格保持者(現役)
永世竜王 |
渡辺明・羽生善治
|
永世名人 |
谷川浩司・森内俊之・羽生善治
|
永世王位 | 羽生善治 |
名誉王座 | 羽生善治 |
永世棋王 |
羽生善治・渡辺明
|
永世叡王 | なし |
永世王将 |
羽生善治・佐藤康光
|
タイトル戦を観るには
タイトル戦を観るのであれば、AbemaTVがおすすめ、名人戦(順位戦)や竜王戦をはじめとするタイトル戦はもちろん、下画像のようにAbemaトーナメントと呼ばれるAbemaTVが同時に開催している早指しの非公式戦など、ほとんどの将棋の対局を網羅しているのが特徴。
Abemaプレミアム(月額960円)は14日間の無料トライアルがあります。迷っている方はぜひ登録してみることをおすすめします。
(検索欄から「将棋」「名人戦」などと検索)
最後に
タイトルに代表される、将棋棋士間の序列は予想以上に複雑です。タイトルだけでなく、それぞれの棋士の特徴などに興味がある方は、「プロ棋士年鑑」などを買ってみるのがおすすめです。