【将棋】絶対に覚えておきたい「鬼殺し戦法」の対策定跡まとめ

将棋を指していて、最初のうちに一番悩まされるのは、鬼殺し戦法に代表される奇襲戦法です。奇襲戦法とは、文字通り奇襲を目指す戦法、つまり嵌め手です。相手にするのはかなり厄介ではありますが、結局のところは嵌め手でしかありません。しっかりと、正確に対応すれば不利になることはありません。

なお、鬼殺しに限らず、奇襲戦法を指してみるのは実際にはかなりおすすめです。特に将棋を始めたばかりのころは、「勝つ喜び」を知らないとなかなか継続しずらいものです。多くの奇襲戦法は指していて気持ちいい戦法なので、初心者でなくても、息抜きに使ってみてはどうでしょうか。

おすすめの奇襲戦法については『初心者におすすめの奇襲戦法(嵌め手)の定跡と基本的な指し方まとめ』で紹介しています。

【将棋】初心者におすすめの奇襲戦法(嵌め手)の定跡と基本的な指し方まとめ
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鬼殺し戦法とは

鬼殺し戦法は、おそらくもっとも有名な奇襲戦法の一つでしょう。詳しくは『絶対に覚えておきたい「鬼殺し戦法」の対策定跡まとめ』で解説しています。

【将棋】絶対に覚えておきたい「鬼殺し戦法」の対策定跡まとめ
将棋を指していて、最初のうちに一番悩まされるのは、鬼殺し戦法に代表される奇襲戦法です。奇襲戦法とは、文字通り奇襲を目指す...

鬼殺し戦法は基本的に先手専用の戦法で、角道を開け、桂馬を跳ねるところから始まります。初手から▲7六歩△3四歩▲7七桂で下図。

鬼殺しの成功例

具体的な対策法を見ていく前に、鬼殺しの成功例を見てみましょう。上図から、△8四歩▲6五桂△6二銀で下図。

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飛車先の歩をついてくる相手に対して、鬼殺し側は、果敢に桂馬を飛びはねます。▲6五桂に対して相手は何とかして△5三桂不成!(下図)を受けなければなりません。こうなると金の両取りで後手一気に不利。

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もっとも自然な後手の応対は△6二銀。それに対して、鬼殺し側は▲7五歩と飛車のコビンに狙いを定めます。

仕掛けの用意を進める鬼殺し側に対して、居飛車側ができそうなのは△6四歩でしょうか(下図)。

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「桂馬の高跳び歩の餌食」という格言もある通り、もうこれで先手の桂馬は助かりません。しかし、これに対しては鬼殺しの秘策があったのです。

▲2二角成△同銀▲5五角(下図)

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角交換をしてからの▲5五角が強烈な一手。▲1一角成を許しては後手はたまらないので、△3三銀と上がって受けるくらいですが、それに対しては▲6四角と、桂馬を狙う歩をかっさらうことができます(下図)。

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上図では、6四に角が5三の地点をにらんでいます。5三への成り込みを防ぐために後手は△5二金右と金を上がって受けますが、それに対しては▲7四歩が厳しい一着。相手は、この歩を取ることができません(取ったら飛車を取って先手大優勢)。

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以下、7筋を受けつつ角取りを見せる△6三金には▲7八飛で7筋に駒の利きを足し、△6四金▲7三歩成で下図。

これは明らかに先手有利。角は損しているものの、さらなる駒得や大駒の成り込みが見込める形です。

おすすめの対策法:△6二金

では、なぜ先ほどは鬼殺し側が成功してしまったのでしょうか。カギとなるのは、△6四歩と桂馬に迫る手に対して、先手が角交換を挑み、▲5五角と中央に角を据えた下図の局面です。

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ここで、先ほどは△3三銀と銀を上がって受けましたが、6四の歩は取られてしまい、6四の位置に移った角が後々活躍する形になってしまいました。▲1一角成と▲6四角の両方を受ける手はなかったのでしょうか?

もしも6二の銀が金だったら

ここでイメージしてみてほしいのが、「もしも6二の銀が金だったら」ということです。どういうことか、実際に下図で見てみましょう。

上図では、実は後手に鬼殺しの両方の狙いを受ける好手があります。その好手は、△6三金(下図)。

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これで、6四の歩に紐をつけつつ、2二の銀に飛車の利きを通し、角で取られないようにしています。もし、金が銀だったらどうなっているでしょうか。

上図は、6二にあるのが銀だと想定して、後手が△6三銀と上がった形。この形でも、6四の歩と2二の銀を両方とも受けていて何の問題もなさそうですが、実はこれは大悪手。よく上図を見てみると、5三の地点への利きがありません。銀は横には動けないので、5三の地点に桂馬が飛び込めるようになっています。下図のように▲5三桂成とすれば、鬼殺し成功となってしまいます。

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覚えておきたい対策定跡:△6二銀に代えて△6二金

ということで、正しい対策定跡は、▲7六歩△3四歩▲7七桂△8四歩▲6五桂の局面で、△6二銀ではなく△6二金と(下図)、金を上がることで5三の歩を受けるやり方です。

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金さえ上がってしまえば、先ほど紹介したように、角交換からの角打ちに対しても金上がりで鬼殺し側からのすべての狙いを封じることが可能です。局面が落ち着いてくれば、下図の、桂馬に歩で迫る形が利いてきます。

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金上がりに対して、鬼殺し側からは基本的に成す術がありません。桂馬を回収し、駒得できれば後手有利は揺るぎません。

居飛車以外でも同様

今回後手は△8四歩からの居飛車を見せていましたが、金を上がる対策法は振り飛車を採用したときにももちろん使えます。例えば、飛車を4筋に振る場合(下図)。

この場合も、△8四歩が△4二飛に変わっただけですから、先ほどと同様に金を上がっておけば何の問題もありません。

まとめ

鬼殺しに対しては△6二金が鉄則です。歩を伸ばして桂馬をすぐにとり行きたいような気もしますが、急ぎすぎるとと相手の術中にはまってしまいます。自陣が万全な状態にしてからゆっくりと駒得を進めていくことで、乱戦を回避し、ゆっくりとし戦いにもっていくが可能です。

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奇襲戦法の対策定跡について解説している数少ない棋書です。鬼殺し含め、奇襲戦法に悩まされているという方にお勧め。

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奇襲戦法・B級戦法
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公開日:2021年6月29日