飛車と角行(以下単に「角」)は、将棋で最も強力な2枚の大駒です。
飛車の動かし方
飛車は、縦横に自由自在に動けることが特徴の駒。金銀が自分の周囲にしか動けなかったのに対して、飛車はさえぎる駒がない限り、どこまでも縦横に進むことができます。
上図右は、飛車の成駒である竜王(以下単に「竜」)の動きを示しています。竜は、飛車の動きに玉の動きが食わっており、縦横に加えて自分の周囲8マスへ動くことができます。
角の動かし方
角は、飛車とは対照的に、斜め方向に自在に動ける大駒です。こちらも、さえぎる駒がないかぎり、どこまでも斜め方向へ動くことができます。
角の成駒は竜馬(単に「馬」)といい、こちらも竜同様、角の動きに王の動きが加わっており、自分の周囲8マスにも動けるようになります。
飛車と角の配置
二つの強力な大駒は、自陣の下から2段目に配置されます。「飛車は右、角は左」です。
飛車の特徴
最強の攻め駒
飛車はだれもが認める最強の攻め駒です。将棋の多くの戦法(攻め方)は、飛車の使い方がベースになっています。
例えば、飛車を初期位置において戦う指し方を「居飛車」(下図左)、飛車を左側方面に動かして戦う指し方を「振り飛車」(下図右)などと区別します。
角の特徴
手持ちにして使うことが多い
角の最大の特徴は、お互いに角を持ち合って(持ち駒にして)戦う将棋が非常に一般的なことです。飛車交換はなかなか起こりえないのに対して、角交換は頻繁に起こりえます。
初手から、例えば▲7六歩△3四歩とすれば、お互いの角道が通って、いつでも角交換できる体制になります(下図)。
馬は最強の守り駒
角そのものは、上下左右への利きがなく、あまり強い守り駒とはいえません。しかし、角の成駒である馬は将棋で最強の守り駒。「馬の守りは金銀三枚(馬の守りは金銀3枚を合わせたものと同等だ)」という格言があることからもわかります。
将棋の初手について
将棋の初手は、ほとんどの場合▲7六歩(下図左)か、▲8六歩(下図右)です。どちらも角と飛車という2つの大駒の活用を見込んでおり、飛車角がいかに重要な駒であるかがわかると思います。
飛車・角の価値
飛車と角はともに将棋で最も価値がある駒です。両者ともに強力ではありますが、飛車の方がわずかに上回るといった感じ。アマチュア間では飛車を持っている方が、角を持っているよりも確実に勝ちやすいと思います。
駒の価値:飛車≧角>金≧銀>桂≧香>歩