歩兵(以下単に「歩」)は将棋で最も弱く、価値のない駒として有名です。その数も多く、多くの駒の初期数が1枚か2枚であるのに対して、歩は最初から9枚配置された状態で始まります。
歩の動かし方
歩の動かし方はいたってシンプル。前の一マスだけです。横に進むこともできなければ、後ろに進むこともできません。
歩は成駒になることで大きくパワーアップします。歩の成駒であると金は金と同じをするため、自分の周囲の斜め後ろ以外のマスに動けるようになります。と金は相手から取られても歩にしかならないので、その点他の同様の成駒(成銀など)と比べても強力です。
歩の配置
歩は自陣の下から3段目にずらりと並べられます。
歩は自陣の駒を相手から守っている一方で、自陣の大駒の利きが相手に直接届かなくしてしまっています。そのため、将棋の初手では▲8六歩(下図左)または▲7六歩(下図右)として、自陣の大駒の利きを広げていくのが一般的です。
歩の特徴
歩の真の価値
歩は弱いからといって、決して「いらない駒」ではありません。歩は弱いからこそ、いろいろな用途に使うことができます。例えば歩を打って相手にあえて取らせることにい追って相手の陣形を乱したり、などなど。歩には多くの効果的な手筋があり、その一部はこちらの記事で紹介しています。
また、持ち駒に歩がないことを「歩切れ」といって、大きな不利要素になります。特に序盤の段階では、歩を一枚でも多く持っている方が有利になります。
歩は戦いを始める駒
歩は、戦いを始めるための駒でもあります。例えば下図では、こちら側が2筋の歩を一直線について、2三の歩とぶつけることで戦いを起こしています。
と金は最強の成駒
先ほども少し触れましたが、と金は数ある成駒の中でも(竜と馬を除く)、最強の成駒です。なぜなら、と金を相手に取られたとしても歩にしかならないから。例えば成銀は、と金と同じ金の動きをしますが、相手に取られると銀になってしまいます(銀は価値の高い駒)。逆にと金は動きは強力ですが、相手に取られても何にもならないので、強力な攻め駒として活用することができるのです。