将棋は「相手の王様を取った方が勝ち」のゲームであるということはよく知られていますが、実際の勝利条件にはもう少し複雑な部分があります。
相手玉を詰ます/自玉が詰まされる
まず初めに、相手玉を詰ます、もしくは自玉が詰まされた場合、詰まされた側の負け、詰ました側の勝利が決定します。
詰みとは、こちら側の王手に対して相手玉が逃げられない状況、もしくは相手側の王手に対して自玉が逃げられない状況のこと。例えば下図では、自玉が5八金と王手されています。金の利きにより、玉は逃げることもできませんし、金には5七の銀が利いているために、金を取ることもできません。
上図のような局面では自玉が「詰まされて」おり、こちらの玉は「詰んで」います。逆に言えば、後手はこちら側の玉を「詰ました」となります。
「詰み」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
将棋では、いずれかの玉が詰まされた時点で、詰まされた側の敗北が確定します。つまり、上図では例えば▲5八同玉△同銀と、こちらの玉が本当に取られる(相手の持ち駒になる)まで指すことはできません。あくまでも、詰みが成立した時点で、自動的に詰まされた側の負け、詰ました側の勝ちとなります。
投了する
自玉がまだ完全に詰まされていなくても、投了の意思表示をした時点で、投了した側の敗北が決定します。投了とは、簡単に言えば降参のこと。「負けました」「参りました」などと発声するのが、伝統的な投了の意思表示の一例です。
投了はどんな局面でもすることができます。まだまだ終盤戦でなくても、もう勝てる見込みがないと判断すれば、投了することも可能です。最もよくあるパターンは、詰み手順に入ったときに投了するというもの。例えばプロ棋士同士の対局では、完全に自玉が詰まされるまで指し続けることはめったになく、自玉が詰み手順に入った時点で投了することが多いです。
投了のマナー
前述したように、最も一般的で、かつ礼儀正しいな投了の方法は「負けました」「参りました」などと発声することです。それだけでも構いませんが、駒台に手をかざしたり、頭を軽く下げたりするのもよいでしょう。
反則負け
将棋には、いくつかの反則負けがあります。駒の動きを間違えたり、一回に2手さしてしまったり、などというのも反則の一つですし、「打ち歩詰め」や「二歩」など、少し特殊な反則のルールもあります。詳しくはこちらの記事で解説しています。
一般的に、反則は指摘されなければ負けとはなりません。将棋の大会などで、間違えて二歩をしてしまった際にも、相手が気づかなければ反則負けになるわけではありません(大会によって異なる可能性があるので要チェック)。
勝敗が決まらないケース:千日手
将棋には、勝ち負けが決まらずに指し直しとなるケースもあります。千日手はその一つで、その名前からも連想されるように同じ局面が何回も繰り返されること。千日手については、こちらの記事で詳しく解説しています。
千日手は「先後入れ替えて指し直し」とするのが一般的です。ただし、一部のローカルルールでは「千日手は後手勝ち」などとしていることもあるので、やはり大会などに参加する際には事前確認しておきましょう。