将棋には、他の多くのゲームと同様、反則(すなわち禁じ手)が存在します。そのうちのいくつかは当たり前!と思うようなものですが、中には知っておかないとうっかり指してしまいそうな反則もあります。今回は、絶対に覚えておきたい将棋の反則・禁じ手を一覧形式で紹介していきます。
基本的な禁じ手
自分の駒を取る
将棋では、相手の駒を取ることはできても、自分の駒を取ることはできません。つまり、自分の駒の動ける先に相手の駒がある場合はそのマスに動いて相手の駒をトルコとはできても、自分の駒のある場所には動くことができません。例えば下図では、真ん中の玉はどこにも動くことはできません。
動けないところに駒を進める
こちらも当たり前の反則ですが、将棋の駒には動ける場所に制限があります。その制限を超えて動くことはできません。例えば角であれば、下図のように斜め方向へどこまでも進むことができますが、横方向へ進むことはできません。あやまって角を横方向へ動かしたり、角筋の異なる場所に動かしてしまうと(例えば1二)反則になります。
成れないときに駒を成る
生駒(表の駒)を成ることができるのは、特定の条件を満たした場合のみです。そのうちの一つは「自分の駒を敵陣内に侵入させる」ですが、敵陣は相手側から3段目までであることに注意(下図)。上級者でもたまに4段目で成ってしまうことがあります。
行き所のない駒
将棋では「行きどころのない駒」を作ることはできません。なので、行き所のないところに駒を打つこともできませんし、行き所のないところに駒を動かすこともできません。
上図左では、歩・香・桂に次の行きどころがありません。こういった場所に駒を不成で進めたり、駒を打つことは禁じられています。ただし、駒を動かす場合、同じ位置でも成駒として進めることは可能です。上図右の場合、どの駒も左右や上下にまだ行き所があります。
王手放置
相手の玉を次に取れるような手のことを「王手」といいますが、この「王手」を無視するのも反則です。例えば下図左では後手玉に王手がかかっています。後手としては、この王手を放置するわけにはいかず、玉を左右に動かす、または下図右のように駒を間に打つなどして、王手を回避する必要があります。
特殊な禁じ手
二歩
まず、最も有名なのが「二歩」でしょう。「二歩」とは下図左のように、同じ列に歩が二枚以上縦に並ぶことを指します。プロ棋士同士の対局でも現れたことのある反則で、気を付けていないとついうっかりと同じ列に歩を打ってしまいます。なお、下図右のように、と金は二歩の例外です。と金は同じ列に何個あっても二歩になりません。
打ち歩詰め
もう一つの有名な反則が打ち歩詰めです。下図左を見てみると、次に歩を玉の前に打って詰みそうです。しかし、下図右のように歩を売ってしまうと、先手が反則負け。将棋には、「歩を打って玉を詰ましてはならばい」というルールがあります。
あくまで禁じられているのは歩を「打って」玉を詰ますことであって、盤上にある歩を動かして玉を詰ます「突き歩詰め」は何の問題もありません。
連続王手の千日手
千日手とは、駒の配置・持ち駒・手番が全く同じ状態の局面が1局中に複数回現れることを指します。現在は、そのような局面が4回現れると千日手が成立し、先手後手を入れ替えて将棋を指しなおします。千日手の詳しいルールについては、こちらの記事をご覧ください。
千日手の中でも、連続王手の千日手は特殊で、王手をかけている側が反則負けとなります。例えば下図左の局面。下図左から、先手は▲2二竜と王手をかけます(下図右)。
後手は玉を2四に逃げるしかありませんが(下図左)、先手は玉を追いかけるべく3三に竜をもどします(下図右)。
後手としては2六に銀があるせいで前方向へは逃げられないので、1三に玉を戻しますが(下図左)、そこでまた先手は▲2二竜と王手できます(下図右)。
しかし、それぞれの局面をよく見てみると、先手と後手は局面をただループしているだけであることに気づきます(千日手)。しかし、先手の手順のすべてが王手であるため、先手はこのまま千日手を繰り返していると反則負けとなってしまいます(逆に言えば、手順の中に一手でも王手でない手順が入っているのであれば、反則負けとはならず、ただの千日手となります)。先手が反則負けにならないためには、どこかで手順を変えて千日手を「打開」する必要があります
最後に:反則の扱い
将棋を指すにあたって禁じ手についてはしっかりと理解しておく必要がありますが、実際には反則をしてしまったからといってすぐに「負け」となるわけではありません。ネット将棋の場合は反則となるような手はそもそも指せないような仕組みになっていますし、友人同士の対局であれば許してくれることがほとんどです。一部の反則(特に二歩)にだけ気を付けていれば、その他の禁じ手についてはそこまで気にする必要はないと思います。